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一田両主制 いちでんりょうしゅせい Yī tián liǎng zhǔ zhì

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世界大百科事典 第2版の解説

いちでんりょうしゅせい【一田両主制 Yī tián liǎng zhǔ zhì】

1枚の田を2人の主人が所有することを意味する旧中国の小作慣行。20世紀半ばの中国革命まで,地主佃戸(でんこ)制と呼ばれる小作制度の発達した華中・華南に広く行われた。一田両主制下の小作田では,小作農(佃戸,佃農)の耕作権が,地主(田主,業主)の土地所有権からの規制をいっさい受けることなく,独立して売買・入質することの可能な物的権利として確立されていた。この場合,地主の土地所有権と小作農の耕作権は1対をなして,田底と田面(江蘇省),田骨と田皮(江西省),大苗(だいびよう)と小苗(福建省),糧業と質業(広東省)などさまざまの地方的名称で呼ばれたが,なかでも田面は耕作権を表す代表的名辞となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一田両主制
いちでんりょうしゅせい

中国、明(みん)後期(15、16世紀)ごろよりみられた土地所有慣行。日本の徳島、高知、愛媛県などの一地両主制と同じく、土地所有が上地(うわじ)の所有と底地(そこじ)の所有とに分化し、同一土地に二つの分割所有権が成立した土地制度である。江蘇(こうそ)、浙江(せっこう)、江西、安徽(あんき)、福建、広東(カントン)、台湾などの水田地帯に行われた。上地は一般には田面(でんめん)というが、そのほか田皮、小業、小買、小頂、小根、批耕、頂耕、脱肩、頂頭、小典などと称され、底地は田底(でんてい)という一般的呼び方のほか、田骨、大業、大買、大頂、大根などと称された。田面、田底の所有者をそれぞれ皮主、骨主などとよんだが、両者の権利は一個独立の物的権利であり、売買、質入れ、譲渡、贈与などの対象となった。なお、17世紀の朝鮮には類似の慣行があり、賭地法(とちほう)とよばれた。
 一田両主制の成因については二つの見解がある。
〔1〕所有権の分割 完全な土地所有権を有する者が田面か田底のいずれかの権利を保留し、他権を売却した場合で、これには投献、詭寄(きき)、寄荘など土地寄進行為も含まれる。
〔2〕地主制的所有における耕作権の自立および物権化 すなわち耕作権が田面権となったというもので、これには(1)佃戸(でんこ)の開墾、(2)佃戸が予納した押租(小作保証金)、(3)佃戸の土地改良による増収などがある。
 一田両主制の歴史的起源が、生産労働や農民闘争を通じて耕作者の地位を著しく高めた明末清(しん)初期(16、17世紀)にあるのは当然としても、さらにどこまでさかのぼらせることができるのか、たとえば、耕作権の質入れの事例として、14世紀中葉にできた書『輟耕録(てっこうろく)』のなかの談話を認めるかどうかは議論の分かれるところである。しかし、いずれにしても、田面権は商品経済の展開のもとで多く高利貸、商人の寄生、収租の対象となり、農民の自由な土地所有をもたらさず、福建では一田三主、一田四主の状態を生じた。1949年、解放後の土地改革で一田両主の慣行は消滅した。[川勝 守]

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世界大百科事典内の一田両主制の言及

【崇明島】より

…砂地であるため綿花の栽培に適し,島内で紡績業も栄えたほか塩業も盛んで,宋代には天賜塩場が設けられた。なお明・清時代には,他の江南地方の農村と同じく田地の二重所有制(一田両主制)が存在し,それが近代になっても残っていてよく研究されている。地理的位置から倭寇の攻撃を受けやすく,とくに明代の嘉靖年間(1522‐66)には知県(県知事)の唐一嶺が戦死するほどで,それを記念する唐公祠は文化遺跡となっている。…

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