川西市(読み)カワニシシ

デジタル大辞泉 「川西市」の意味・読み・例文・類語

かわにし‐し〔かはにし‐〕【川西市】

川西

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「川西市」の解説

川西市
かわにしし

面積:五三・四四平方キロ

県の南東部に位置する。東は大阪府豊能とよの能勢のせ町・豊能町・箕面市・池田市と接し、北西に川辺かわべ猪名川いながわ町、西は宝塚市で、同市切畑きりはたの一角に飛地満願寺まんがんじ町がある。南は伊丹市と接する。市域は南北に細長く、東西は最も広い所で六・五キロ。猪名川は大阪層群の柔らかい地層を削り、堅い基盤岩の残った所に小規模な渓谷を形成した。猪名川が堆積した扇状地が南部に広がり、一部が隆起して南西斜向の加茂かも久代くしろ台地を形成した。中部や北部は猪名川や一庫大路次ひとくらおおろじ川に沿って低地性の丘陵地帯があり、多くの大規模団地が開発された。能勢口のせぐち周辺の市街地を含め、阪神間のベッドタウンとして人口が急増したが、現在は成熟期を迎え、静かな人口増へと推移している。市域の東部を国道一七三号が通り、県道川西―篠山線、国道一七六号とともに日本海方面と結ぶ。東畦野ひがしうねのから園部そのべに至る国道四七七号、市域南部の中国高速道と国道一七六号が東西に通り、阪神間をつなぐ産業道路として池田―尼崎線が能勢口で東と南に延びる。阪急宝塚線が大阪―宝塚間を通り、JR福知山線が大阪―福知山間を結ぶ。市東部を能勢電鉄妙見線が北上し、山下やましたで同日生線が分れる。急増する車に対応して阪神高速道の延伸工事が南部の猪名川堤防沿いに進められた。川西―猪名川線バイパスの延伸工事や、阪急電鉄・能勢電鉄の能勢口駅周辺の高架化が実現した。市名は南部が猪名川の西にあることから川西町となり、川西市に引継がれた。

〔原始・古代〕

猪名川を府県境とし、市域はその西岸の伊丹段丘および長尾山ながおやま丘陵を占める。旧石器時代の遺物は加茂遺跡でナイフ形石器、花屋敷はなやしきで有舌尖頭器が採集されている。縄文時代は加茂遺跡で後期・晩期の土壙、小花おばな遺跡で石棒が出土している。弥生時代前期の栄根さかね遺跡・下加茂したがも遺跡、同中期の加茂遺跡は市域の代表的な遺跡で、うち加茂遺跡は第III・第IV様式期には畿内でも有数の大集落であるとされている。同遺跡の西端部および満願寺で突線鈕式の銅鐸が出土している。古墳時代には弥生時代からの集落が確認されており、勝福寺しようふくじ古墳では銀象嵌大刀や画文帯神獣鏡などが出ている。ほかに長尾山古墳群東端部の群集墳がある。栄根遺跡や下加茂遺跡では奈良時代からさらに中世にわたる遺物などが検出されており、古代寺院の遺構として栄根えいこん廃寺や満願寺旧伽藍がある。

市域は旧川辺郡の北東部を占め、「和名抄」に記す同郡雄家おべ郷・大神おおむわ郷と、山本やまもと郷の東部が当市域に含まれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川西市」の意味・わかりやすい解説

川西〔市〕
かわにし

兵庫県南東部,猪名川中流域の市。大阪府池田・箕面 (みのお) 両市に接する。 1954年川西町と多田,東谷の2村が合体して市制。猪名川の水に恵まれ,古くから友禅染,馬皮なめしで知られた。 1910年阪急電鉄宝塚線の開通を機に住宅都市化が始り,第2次世界大戦後,宅地化,ゴルフ場開発が大規模に進み,大阪市の近郊住宅地となった。中部の多田地区は多田源氏ゆかりの地で,史跡多田院,多田神社,満願寺などがある。猪名川渓谷県立自然公園に属する景勝地で,一庫 (ひとくら) 温泉がある。国道 173号線,176号線が通じる。面積 53.44km2。人口 15万2321(2020)。

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