日本大百科全書(ニッポニカ) 「常務会」の意味・わかりやすい解説
常務会
じょうむかい
executive council
日本の大企業の多くに、法定機関である取締役会とは別に任意機関として設けられているトップ・マネジメント組織。実際の名称は、常務会、経営会議、常勤役員会、専務会など多様であるが、一般にこれらを常務会(制度)と総称する。通常、それは社長、副社長、専務、常務のいわゆる上級・役付きの常勤取締役で構成されている。この会議では、取締役会で形式的に決定する事項を実質的に討議することから、日常的経営活動の基本事項に至るまで、経営上の重要な意思決定のほとんどすべてを行っている。このような会議が設けられた最大の理由は、第二次世界大戦後に法定機関となった取締役会が月1回程度しか開催されず、経営者機能の遂行にとって十分に機能しないことにある。常務会の性格には、決定機関、協議機関、諮問機関の3種がある。決定機関としての常務会は、社長を含む構成員の多数決で決定を下すものであるが、これはほとんど存在しない。協議機関および諮問機関としての常務会は、社長が常務会で協議し、あるいは常務会に諮問して決定を下すものである。社長の決定権は常務会の審議に拘束されないが、現実には審議をリードしつつ尊重する運営がなされる。このような性格のため、常務会は取締役会を無機能化させているのみでなく、社長の強大な力を支える効果をも発揮している。
[森本三男]