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…敗戦後,経済復興を担うべき企業の基礎の充実とその民主化とを図るため,48年には株式の全額払込制を採用し,次いで50年には株式会社制度を根本的に改める大改正が行われた。50年の改正は,それまでドイツ法的な制度であった日本の株式会社制度を,占領軍司令部の要求もあって,アメリカ法的な制度に改め,企業資本の調達を機動的にするために授権資本制度および無額面株式制度をとり入れ,また,経営の技術革新に対応して所有と経営の分離を徹底化(株主総会の権限を限定)するとともに,それに伴う取締役会制度の導入および取締役の責任の強化を図ったものである。なお,その際,取締役の業務執行をコントロールする機関としてのヨーロッパ的な監査役制度は廃止され,以後監査役は単なる会計監査機関となった。…
…すなわち,48年に株金分割払込制度を廃止したのに続いて,50年にはアメリカの制度を広範にとり入れた大改正が行われた。それは,(1)授権資本制度等を採用することにより資金調達の便宜を図る,(2)株主総会の権限を縮小すると同時に取締役会制度・監査役制度を改正して会社運営機構を合理化する,(3)少数株主権の強化,取締役の責任の厳格化等により株主の地位の強化を図る,ことを主眼点とするものであった。その後の株式会社法の改正としては,62年の計算(企業会計)を中心とする商法改正,資本自由化を前にした66年の株式の譲渡制限・譲渡方法等に関する改正,粉飾決算にからむ大型倒産を機に監査役の地位強化と会計監査人制度の導入を柱とした74年改正等が行われたが,74年改正の直後から,会社法の全面的見直しおよび改正の作業が始まり,81年に改正が実現した。…
…株主総会は,出資者である株主全員によって構成される機関として,従来,会社に関するいっさいの事項につき決定できる会社の最高かつ万能の機関とされていた。しかし,株式会社の大規模化にともない,株主の大多数は会社の経営に知識も関心ももたなくなるとともに,複雑な会社の経営は経営の専門家にゆだねざるをえないという,いわゆる〈所有と経営の分離〉という現象に対処すべく,1950年の商法改正で,株主総会の権限は法定事項または定款所定事項に限定され(商法230条ノ10),それ以外の事項は取締役で構成する取締役会の決定にゆだねられている。所有と経営の分離に適合する方向に機関構成を改めることは,アメリカ法,ドイツ法などにもみられる世界的傾向である。…
…
[常務会の機能]
そして組織的には,その頂点として職能別担当常務が君臨しており,彼らが実質的に最高の意思決定機関である常務会の構成メンバーとなっている。常務会は,株主総会や取締役会と違って法的に必要とされる機関ではない。しかし内部出身重役が圧倒的に多い日本の大企業では,取締役内部に(年功的)序列があるため,大企業の取締役会は実質的に意思決定機関としての機能を喪失し,常務取締役以上の役員からなる常務会が最高経営方針の審議・決定の機関として一般化した。…
…また,経営能力さえあれば少額株主であっても,あるいは株式を保有していなくても専門経営者として株主から委託されて経営を支配することができるのである。通常の取締役会が受託経営者と呼ばれるのは,このためである。この点について,A.A.バーリとG.C.ミーンズの研究(《近代株式会社と私有財産》1932)が有名である(〈経営・経営管理〉の項参照)。…
…取締役の数が多くなると,さらにそのうちの一部の者に実権が集中しがちである。
[株式会社の取締役]
株式会社においては,業務執行機関が取締役会という合議体になっているため,その構成員である取締役は3名以上必要である(商法255条)。取締役は株主総会の決議によって選任される。…
※「取締役会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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