取締役会(読み)トリシマリヤクカイ

デジタル大辞泉 「取締役会」の意味・読み・例文・類語

とりしまりやく‐かい〔‐クワイ〕【取締役会】

株式会社で、業務執行に関する会社意思決定する機関取締役全員で構成され、株主総会権限に属する事項以外の会社運営上の重要事項の決定を行う。

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精選版 日本国語大辞典 「取締役会」の意味・読み・例文・類語

とりしまりやく‐かい‥クヮイ【取締役会】

  1. 〘 名詞 〙 株式会社で、業務執行に関する会社の意思を決定する機関。取締役の全員で構成し、株主総会の権限に属するものを除き、会社運営上の重要な事項の決定を行なう。
    1. [初出の実例]「取締役会の決議は」(出典:商法(明治三二年)(1899)二六〇条の二)

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百科事典マイペディア 「取締役会」の意味・わかりやすい解説

取締役会【とりしまりやくかい】

取締役で構成する株式会社の業務執行機関,およびその会合。2005年の会社法では,その設置が任意となり,取締役会を設置しない株式会社も認められることとなった。決議は取締役の過半数の出席,出席取締役の過半数による。原則として各取締役が招集権者。議事録の作成と出席取締役の署名を要する。[委員会設置会社の場合] 米国では取締役会の内部に役員の選任を扱う指名委員会,役員等の報酬を扱う報酬委員会,監査を行う監査委員会等の委員会を設けるのが通例となっており,近年,日本でも取締役会に任意の〈委員会〉〈アドバイザリー・ボード〉等という名称を持つ下部組織を設置する会社が増加していたが,これらには法律上権限は認められていなかった。2002年の商法改正で委員会設置会社が導入され,この会社形態においては指名・報酬・監査の三つの委員会を設置することが法律上義務づけられ,各委員会の権限・構成等も会社法により定められた。→社外取締役常務会トップ・マネジメント内部統制システム
→関連項目営業報告書株式会社株式時価発行株主総会議事録執行役執行役員代表取締役利益相反取引

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「取締役会」の意味・わかりやすい解説

取締役会
とりしまりやくかい
board of directors

取締役会設置会社である株式会社の業務執行に関する意思を決定し,取締役執行役の職務執行を監督する機関。取締役の全員で構成される。公開会社,監査役会設置会社,委員会設置会社においては必ず置かなければならない(会社法327条1項)。会社法は,取締役会設置会社における株主総会の権限を基本的な事項に限定し,多くの権限を取締役会のもとに置いた。そのため代表取締役の選定解職,重要な財産の処分・譲り受け,多額の借財支配人その他の重要な使用人の選任および解任,募集社債の決定やその他の重要な業務執行は,取締役会で決定される。取締役会は各取締役,招集をなすべき取締役を置いたときはその取締役またはその取締役以外の各取締役のいずれかによって招集されるが,一定の場合には監査役設置会社および委員会設置会社を除く取締役会設置会社の株主,あるいは監査役の招集請求により招集される。取締役会の決議は,原則として議決に加わることができる取締役の過半数が出席し,その過半数をもって行なわれるが,当該決議に特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができない。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「取締役会」の解説

取締役会

会社法(旧商法)において規定された、株式会社のうち取締役会設置会社における業務意思決定機関。代表取締役の選任、新株の発行、準備金の資本金組み入れ、社債発行などは取締役会議で議決できる。本来は重要な機関であるが、企業の規模によって意思決定が極度に集約・分散される傾向が強いため、取締役会は小規模会社と大規模会社の両方において形骸化著しいといわれる。そのため執行役員制度など、実務に関しては別の制度を利用し、取締役会はその承認を行なう単なる決定機関として機能している場合も少なくない。

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世界大百科事典(旧版)内の取締役会の言及

【会社】より

…敗戦後,経済復興を担うべき企業の基礎の充実とその民主化とを図るため,48年には株式の全額払込制を採用し,次いで50年には株式会社制度を根本的に改める大改正が行われた。50年の改正は,それまでドイツ法的な制度であった日本の株式会社制度を,占領軍司令部の要求もあって,アメリカ法的な制度に改め,企業資本の調達を機動的にするために授権資本制度および無額面株式制度をとり入れ,また,経営の技術革新に対応して所有と経営の分離を徹底化(株主総会の権限を限定)するとともに,それに伴う取締役会制度の導入および取締役の責任の強化を図ったものである。なお,その際,取締役の業務執行をコントロールする機関としてのヨーロッパ的な監査役制度は廃止され,以後監査役は単なる会計監査機関となった。…

【株式会社】より

…すなわち,48年に株金分割払込制度を廃止したのに続いて,50年にはアメリカの制度を広範にとり入れた大改正が行われた。それは,(1)授権資本制度等を採用することにより資金調達の便宜を図る,(2)株主総会の権限を縮小すると同時に取締役会制度・監査役制度を改正して会社運営機構を合理化する,(3)少数株主権の強化,取締役の責任の厳格化等により株主の地位の強化を図る,ことを主眼点とするものであった。その後の株式会社法の改正としては,62年の計算(企業会計)を中心とする商法改正,資本自由化を前にした66年の株式の譲渡制限・譲渡方法等に関する改正,粉飾決算にからむ大型倒産を機に監査役の地位強化と会計監査人制度の導入を柱とした74年改正等が行われたが,74年改正の直後から,会社法の全面的見直しおよび改正の作業が始まり,81年に改正が実現した。…

【株主総会】より

…株主総会は,出資者である株主全員によって構成される機関として,従来,会社に関するいっさいの事項につき決定できる会社の最高かつ万能の機関とされていた。しかし,株式会社の大規模化にともない,株主の大多数は会社の経営に知識も関心ももたなくなるとともに,複雑な会社の経営は経営の専門家にゆだねざるをえないという,いわゆる〈所有と経営の分離〉という現象に対処すべく,1950年の商法改正で,株主総会の権限は法定事項または定款所定事項に限定され(商法230条ノ10),それ以外の事項は取締役で構成する取締役会の決定にゆだねられている。所有と経営の分離に適合する方向に機関構成を改めることは,アメリカ法,ドイツ法などにもみられる世界的傾向である。…

【経営・経営管理】より


[常務会の機能]
 そして組織的には,その頂点として職能別担当常務が君臨しており,彼らが実質的に最高の意思決定機関である常務会の構成メンバーとなっている。常務会は,株主総会や取締役会と違って法的に必要とされる機関ではない。しかし内部出身重役が圧倒的に多い日本の大企業では,取締役内部に(年功的)序列があるため,大企業の取締役会は実質的に意思決定機関としての機能を喪失し,常務取締役以上の役員からなる常務会が最高経営方針の審議・決定の機関として一般化した。…

【所有と経営の分離】より

…また,経営能力さえあれば少額株主であっても,あるいは株式を保有していなくても専門経営者として株主から委託されて経営を支配することができるのである。通常の取締役会が受託経営者と呼ばれるのは,このためである。この点について,A.A.バーリとG.C.ミーンズの研究(《近代株式会社と私有財産》1932)が有名である(〈経営・経営管理〉の項参照)。…

【取締役】より

…取締役の数が多くなると,さらにそのうちの一部の者に実権が集中しがちである。
[株式会社の取締役]
 株式会社においては,業務執行機関が取締役会という合議体になっているため,その構成員である取締役は3名以上必要である(商法255条)。取締役は株主総会の決議によって選任される。…

※「取締役会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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