平和のための結集決議(読み)へいわのためのけっしゅうけつぎ(その他表記)"Uniting for Peace" Resolution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平和のための結集決議」の意味・わかりやすい解説

平和のための結集決議
へいわのためのけっしゅうけつぎ
"Uniting for Peace" Resolution

1950年11月3日国連総会で採択された決議安全保障理事会大国拒否権によって国連憲章の予定した安全保障の機能を発揮できないとき,総会にその機能の肩代わりをさせることをねらいとしたもので,総会強化決議ともいわれる。この決議は,朝鮮戦争に際し,ソビエト連邦の拒否権行使を契機としてアメリカ合衆国の提案でなされ,総会が兵力の使用を含む集団的措置をとるよう加盟国に勧告できるものとし,さらに総会が会期中でないときには緊急特別総会が招集できる手続きを定めたものである。この決議により招集された最初の緊急特別総会は,1956年のスエズ戦争に際し開催された(イギリス,フランス両国の拒否権行使)。これは,当時国連総会で多数を占めた西側陣営が,総会の場を活用しようとしたものであったが,その後,アジア,アフリカの第三勢力の進出で西側の数的優位が失われ,さらに集団安全保障機能が後退したことにより,この決議の眼目である総会のもとでの強制措置発動という面は,意義を失うようになった。そしてこの決議の活用は,もっぱら緊急総会の招集手続の援用に限られるようになった。

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百科事典マイペディア 「平和のための結集決議」の意味・わかりやすい解説

平和のための結集決議【へいわのためのけっしゅうけつぎ】

1950年,米国のアチソン国務長官の提案で,国連総会において採択された決議。大国の拒否権行使によって国連安全保障理事会が開かれなかった場合に,安全保障理事会にかわって総会が〈国際の平和および安全を維持し,または回復するための集団的措置〉を勧告できるというもの。本来こうした集団的措置についての決定権は安全保障理事会がもっているが,安全保障理事会が拒否権によって機能しないために,米国の働きかけによって実現した。ここから,総会決定による国連平和維持活動PKO)が生まれたのである。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「平和のための結集決議」の解説

平和のための結集決議(へいわのためのけっしゅうけつぎ)
‘Uniting for Peace’ Resolution

国連総会権限を強化するための決議で,1950年11月3日に採択された総会決議377(V)。国連安全保障理事会が拒否権のためにその任務を遂行できない場合,総会が強制措置を勧告できること,一定の手続きで緊急特別総会を開催できること,国連待機軍の維持の勧告などを内容とする。朝鮮戦争時の東西対立を背景とし,総会の平和維持機能の強化を意図した。スエズ戦争(1956~57年)の際に最初の緊急特別総会が開催され,最初の国連平和維持活動(国連PKO)である第1次国連緊急軍(UNEFⅠ)が設置された。

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