平和条約(読み)ヘイワジョウヤク

精選版 日本国語大辞典 「平和条約」の意味・読み・例文・類語

へいわ‐じょうやく‥デウヤク【平和条約】

  1. 〘 名詞 〙 交戦国戦争を終了させ、平和を回復するために結ぶ条約。戦争終結宣言講和条件などが規定される。講和条約
    1. [初出の実例]「平和条約の可決粗ぼ了りければ」(出典:経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後)

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改訂新版 世界大百科事典 「平和条約」の意味・わかりやすい解説

平和条約 (へいわじょうやく)

交戦国間の戦争状態を終了させる条約。講和条約ともいう。また平和条約締結を講和と呼ぶこともある。戦争状態は征服戦争状態終結宣言によっても終了するが,最も一般的な終了方式は平和条約の締結である。通常,平和条約には,戦争状態の終了のほか,戦後処理のための政治的経済的諸条件,たとえば領土国境画定,戦争賠償,戦争前に効力を有した条約の取扱いなどが規定される。

 ベルサイユ条約など第1次大戦の各平和条約には,共通第1編として国際連盟規約が含まれていた。第2次大戦では,連合国はイタリアや日本との間には平和条約を結んだが,ドイツとの関係では,ドイツが東西に分裂したこともあって,平和条約を結ぶことなく,複数の政治・経済協定や連合国側の一方的戦争状態終結宣言によって戦争状態を終結させた。また,日本に関しては,サンフランシスコ講和条約が結ばれたが,これは,ソ連中国などが参加しない,いわゆる片面講和であった。その後,インドとの間には1952年に日印平和条約が結ばれた。中国については,はじめ台湾との間に1952年に日華平和条約が結ばれたが,その効力は中華人民共和国には及ばず,72年の日中共同声明によって,後者との不正常な状態が終了するとともに,日華平和条約は効力を失い,78年には日中平和友好条約が結ばれた。ソ連との間の戦争状態は,1956年の日ソ共同宣言によって終了したが,この宣言で予定されている平和条約は,まだ結ばれておらず,北方領土問題が日ソ間の対立点となっている。
戦争
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