幸流(読み)コウリュウ

デジタル大辞泉 「幸流」の意味・読み・例文・類語

こう‐りゅう〔カウリウ〕【幸流】

能の小鼓方流派の一。永禄(1558~1570)のころ幸四郎次郎忠能流祖として起こったもの。子の名を取って幸五郎次郎流ともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「幸流」の意味・読み・例文・類語

こう‐りゅう カウリウ【幸流】

〘名〙 能楽囃子方(はやしかた)小鼓の一流派。流祖は宮増彌左衛門親賢の門弟幸四郎次郎忠能。幸小左衛門家の祖となる。格調の正しさを尊ぶ流派。幸五郎次郎流。

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改訂新版 世界大百科事典 「幸流」の意味・わかりやすい解説

幸流 (こうりゅう)

能楽小鼓方の流儀の一つで幸五郎次郎流ともいう。現宗家は17世幸正影(まさかげ)。能楽協会には20名余の役者が登録され,東京,京都を中心に活躍している。この流儀は5種類の音を打ち分けて中間音を出さない。また舞のなかで特殊な地(ヌク地・切ル地)を多用するほかは他流に比べて装飾的な替の手組(リズム・パターン)が少なく,掛声も体系的にかけるなど形式性が強い。元来宇治猿楽の出で,流祖幸四郎次郎忠能は小鼓の名人宮増弥左衛門(1556没)の弟子。2世幸五郎次郎正能は《幸正能口伝書》を残し,室町後期から江戸初期にかけての技法を伝えている。江戸時代は主として金春(こんぱる)流の座付(所属)であった。明治期,宗家継承をめぐって一時流内に紛争があったが,1909年三須(みす)平司の養子,五郎(後の幸祥光(よしみつ))がその天才を認められて16世宗家を継ぎ問題は解決した。その活躍で流勢はさかんになった。

幸流小鼓家の一つ。系譜によると本国は筑紫三須郡。三代を経て加州前田侯御抱えの能役者となり金沢に居住していたが,10世専次郎の次男平左衛門が豊後竹田藩に召し抱えられ,江戸に居を移した。その長男錦吾は明治時代に幸流芸事取締として活躍し,錦吾の長男平司の養子五郎が幸流の16世宗家を継いだ。現宗家は五郎の嫡子である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幸流」の意味・わかりやすい解説

幸流
こうりゅう

能の小鼓方の流儀名。幸五郎次郎流ともいう。流祖幸四郎次郎は,名人とうたわれた宮増弥左衛門 (1556没) の弟子。 16世は近代の名人といわれる幸祥光 (1892~1977) 。初名五郎。 1955年重要無形文化財保持者に認定。現 17世宗家は祥光の長男,幸正影 (24~ ) 。

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