精選版 日本国語大辞典 「庚午年籍」の意味・読み・例文・類語
こうご‐ねんじゃく カウゴ‥【庚午年籍】
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670年(天智天皇9)庚午(かのえうま)の年につくられた戸籍。現存していないが、『続日本紀(しょくにほんぎ)』やその他後代の史料によると、この戸籍は全国的な範囲で作成されたものであることが知られる。大宝令(たいほうりょう)の規定によると、通常の戸籍は30年保管されることになっていたが、「庚午年籍」だけは例外として永久に保存されるべきものと規定されていた。事実、平安中期まで残されていたことが「上野(こうずけ)国交替実録帳」などによって知られる。この戸籍は、氏姓の基準として用いられたらしく、令の注釈書である『令集解(りょうのしゅうげ)』や国史にそれに関連する史料が散見する。また「庚午年籍」は現在その全国的実施が確認できる最古の戸籍である。このように全国的な造籍が天智(てんじ)朝に行われたことは、天智朝が律令支配体制の成立史上大きな意義をもっていたことを示している。もっとも、8世紀の戸籍と形式・内容が同一であったかどうか、異なる点があるとすればどのような点であったのかは、わかっていない。
[鬼頭清明]
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670年(天智9)庚午の年に作成された日本最初の全国的戸籍。具体的な記載内容は不明であるが,のちの律令制下の戸籍が,人民をその居住地で把握する地域的編戸を原則としたのに対し,部民制・氏(うじ)といった族制的な原理に強く規制されていたようである。このため律令制下では旧体制の記録として重要視され,良賤訴訟・改氏姓などの局面で,身分・氏姓の根本台帳として参照されることが多い。大宝・養老令では,通常の戸籍は30年で廃棄されるが,庚午年籍のみは永久保存と定められ,以後も内容を改変せず保存することを命じる法令がくり返し出されている。平安時代に入り,戸籍制度自体の空洞化とともにその役割を終えたものとみられる。
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…《日本書紀》によれば,蘇我本宗家の滅亡後,645年(大化1)8月に東国および倭の6県(あがた)に遣わされた使者に戸籍の作成が命ぜられ,翌年正月のいわゆる〈大化改新の詔〉にも〈初めて戸籍・計帳・班田収授之法を造る〉とみえるが,652年(白雉3)の造籍の記事とともにその史料性には疑問があり,ただちにこれらをもって後の律令制的な戸籍制度の成立とみることはできない。その意味で最初の確実な造籍は670年(天智9)の庚午年籍(こうごねんじやく)であり,この戸籍はおそらく近江令の規定に基づき,全国的・全階層的規模で作成されたものである。続いて690年(持統4),飛鳥浄御原令に基づき庚寅年籍(こういんねんじやく)が作成されたが,この戸籍は良賤身分の確定,里制の実施などのうえで重要な意義をもったらしい。…
…姓は朝臣(あそん),宿禰(すくね),臣(おみ),連(むらじ)などのカバネ(姓(かばね))そのものを指すのではなく,またカバネが支配階級を構成する氏(うじ)に与えられた称号であるのと違って,姓は地方の一般人民にまで広く授与された公的な呼称である。姓が初めて全国の人民にいっせいに付与されたのは,庚午年籍(こうごねんじやく)とよばれる戸籍が作成された670年(天智9)のことであった。それ以前は地方の豪族や人民の大部分は氏の名もカバネももたず,無姓のままであった。…
※「庚午年籍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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