浮浪(読み)ふろう

精選版 日本国語大辞典「浮浪」の解説

ふ‐ろう ‥ラウ【浮浪】

〘名〙
① 奈良・平安時代、農民が課役を逃れるため本貫(戸籍の地)を離れ、他所へ赴くこと。浮宕(ふとう)
※続日本紀‐和銅二年(709)一〇月丙申「禁制、畿内及近江国百姓、不法律、容隠浮逃亡仕丁等
② さすらうこと。一定の住所や職業がなく、あちこちさまよい歩くこと。また、その人。流浪。
※彝倫抄(1640)「遊手浮浪(フラウ)の人」
※さまよへる猶太人(1917)〈芥川龍之介〉「東洋へ浮浪して来た冒険家や旅行者とは」 〔梅堯臣‐聞進士販茶詩〕

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旺文社日本史事典 三訂版「浮浪」の解説

浮浪
ふろう

律令制において,本籍を離れて他国に流浪している者
令では他郷で調を出す者を浮浪,出さない者を逃亡 (とうぼう) と区別しているが,実際はほとんど差はなかった。ともに厳禁されていたが,課役の過重などでしだいに増大,その多くは荘園に流入した。

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デジタル大辞泉「浮浪」の解説

ふ‐ろう〔‐ラウ〕【浮浪】

[名](スル)住居を離れ、また一定の住居や職業を持たず、あちこちさまよい歩くこと。また、その人。
「東洋へ―して来た冒険家」〈芥川・さまよへる猶太人〉
[類語]うろつくさすらうさまよう出歩くほっつくほっつき歩くほっつき回るぶらつく徘徊彷徨低回流浪放浪漂泊流離漂流右往左往

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普及版 字通「浮浪」の解説

【浮浪】ふろう(らう)

さすらい人。〔隋書食貨志の貫(本)無き人、州縣の(へんこ)するを樂(ねが)はざる、之れを浪の人と謂ふ。

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世界大百科事典内の浮浪の言及

【漂泊民】より

… しかし一方の,主として田畠を基盤に生活する農業民の場合も,その定住性はしだいに安定化の方向に向かっているとはいえ,山野河海の産物,その加工に依存する度合は大きく,定住地の移動もしばしば起こりえたのである。共同体成員としての義務を果たせず,また支配者の圧迫にたえかねて,逃亡,浮浪する人々も少なからずあり,宗教的な動機などによって意識的に共同体を離脱する人,さらに罪を犯し,〈業病〉にかかったがゆえに共同体から追放される人々もあった。こうした人々は,一時的にせよ永続的にせよ,漂泊民となっていったのである。…

【浮浪・逃亡】より

…両者をあわせて〈浮逃〉とも略称される。通説的見解では,律令本来の規定としては,本籍地を離脱した者のうち,他国にあって課役を全部出す場合が浮浪であり,課役を出さない場合が逃亡であるが,現実政治の上では両者はしばしば混同されて扱われた。律令政府は〈浮逃〉に対して厳罰をもってのぞみ,可能なかぎり本籍地への送還をおしすすめたが,715年(霊亀1)に発せられた格によって,それぞれの現住地において戸籍に登録し,そこで課役を負担させるという,実情にあわせた政策に転換したとされている。…

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