引回し(読み)ヒキマワシ

デジタル大辞泉 「引回し」の意味・読み・例文・類語

ひき‐まわし〔‐まはし〕【引(き)回し/引き×廻し】

引き回すこと。
あれこれ世話をやいたり指導したりして、面倒をみること。「お―を願う」
江戸時代見せしめのために斬罪ざんざい以上の重刑に付加した刑。処刑前に、罪人を縛って馬に乗せ、罪状紙幟かみのぼりに書いて、犯罪地や罪人の住所付近を引き回した。
丸ガッパ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「引回し」の意味・読み・例文・類語

ひき‐まわし‥まはし【引回・引廻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つかんで振りまわすこと。ひきずりまわすこと。
  3. 江戸時代、死罪、斬罪以上の重刑に付加した刑で、刑の執行前に罪人を縛って馬に乗せ、罪状を紙幟(かみのぼり)に記し、府内または犯罪地を引きまわして公衆に見せること。
    1. 引回<b>②</b>〈刑罪大秘録〉
      引回〈刑罪大秘録〉
    2. [初出の実例]「おれが内の前は引廻(ヒキマハ)しの立場(たてば)よ」(出典:歌舞伎・桜姫東文章(1817)大詰)
  4. 指導して世話をすること。指図すること。とりはからうこと。
    1. [初出の実例]「小法師無御心許存候。可然様御引廻専一候」(出典:醍醐寺文書‐(年月日未詳)(室町後)僧堯済カ書状)
  5. 身にまとうこと。まわりにめぐらすこと。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「懸る敵の馬の平頸、むながひの引廻(マハシ)、切ては刎ね倒し」(出典:太平記(14C後)一六)
  6. ひきまわしガッパ(引回合羽)」の略。
    1. [初出の実例]「こんじまのせんたくしたる、ひきまはしをきて」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五)
  7. ( に形が似ているところから ) インバネスマント。とんび。
    1. [初出の実例]「赤地に白く洗粉の名を出した引廻(ヒキマハ)しのやうな物を着てゐる」(出典:電車の窓(1910)〈森鴎外〉)
  8. 能の据え道具の一つ。宮殿草庵などを意味する作り物の、後方を除く前方左右三方をおおいかこむ幕。演能途中で後見が左右から静かにおろし、中のシテまたはツレの姿を見せる。引廻幕。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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