当て物(読み)アテモノ

デジタル大辞泉 「当て物」の意味・読み・例文・類語

あて‐もの【当て物】

隠してある物を言い当てること。
駄菓子屋などで売られている懸賞付きのくじ
物を切ったり打ったりするときにあてがうもの。
射芸の一。草木の葉や貝などを的にして射当てるもの。
「この様の―などは今はの落つるところもおぼえ候はず」〈今昔・二五・六〉

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精選版 日本国語大辞典 「当て物」の意味・読み・例文・類語

あて‐もの【当物・中物・宛物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ]
    1. 当てること。また、当てる対象となる物。
      1. [初出の実例]「初めは彼等に憐みの御眼を懸給ふといへども、今は御罰のあて物となし給ふ儀也」(出典:ぎやどぺかどる(1599)上)
    2. 隠してある物、なぞなどを考えて言い当てること。当て事。
      1. [初出の実例]「看守さん、あてものですよ、わかりませんか、これわからないと駄目ですね」(出典:浅草(1931)〈サトウ・ハチロー〉金網模様の青空)
    3. 駄菓子屋などで、くじを引かせ、当たると代金以上の菓子や玩具などを与えるもの。
      1. [初出の実例]「水飴(あめ)のほかにあてものや駄菓子など」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前)
    4. はさみもの(挟物)
      1. [初出の実例]「此の様の当物などは、今は箭(や)の落る所も思え不候」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)
    5. 近世末期にみられた門付(かどづけ)の一種。願人坊などが「出ました当て物」と市中を呼び歩き、商店の門口に立ってなぞを自問自答して、金銭をもらい歩くもの。
    6. 馬の気持を動揺させたり、驚かしたりするもの。あて。
  3. [ 二 ] 物をあてがうこと。また、その物。
    1. 物の形を整えたり、中身を保護するためにあてがう物。
      1. [初出の実例]「その時分のモダンは、〈略〉肩に当ものをしたり、お乳にもあてものをして」(出典:旧聞日本橋(1935)〈長谷川時雨〉流れた唾き)
    2. 能面をかぶる時、左右の頬に張り付けて、面が顔にじかに当たるのを防ぐ枕状のもの。
    3. 芝居の舞台の左右にある大臣柱外側の張り物。関西で道具方が用いる語。かこい。
    4. 酒、しょうゆなどの醸造の時、廃水を出す際に中の白米大豆などが流れ出ないように桶の内側に沿ってあてがう物。

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