長谷川時雨(読み)はせがわしぐれ

日本大百科全書(ニッポニカ)「長谷川時雨」の解説

長谷川時雨
はせがわしぐれ
(1879―1941)

劇作家本名ヤス。東京日本橋生まれ。秋山源泉小学校で読み書きそろばんを習ったのち、竹柏園(ちくはくえん)に入門し古典を学ぶ。結婚に失敗し、1901年(明治34)『うづみ火』を『女学世界』に投稿し入選。05年戯曲『海潮音』が『読売新聞』に入選、上演されてのち劇作家として出発し、『さくら吹雪(ふぶき)』(1911)で地位が定まる。16年(大正5)三上於菟吉(おときち)と出会い同棲(どうせい)。23年、岡田八千代(やちよ)とともに『女人(にょにん)芸術』を出すが大震災のため2号で廃刊となり、のちにこれを引き継いで『女人芸術』(1928~32)を発行。同誌廃刊後は『輝(かがや)ク』を発刊。古い教養からくる限界はあるが、同性を書き続けた『美人伝』(1918)、生い立ちを語った『旧聞日本橋』および時雨の『女人芸術』をも貫く姿勢は、実感としてのヒューマニズムであり女性解放であったといえよう。

[尾形明子]

『『長谷川時雨全集』全五巻(1941~42・日本文林社)』『『旧聞日本橋』(1983・青蛙房/岩波文庫)』『長谷川仁・紅野敏郎編『長谷川時雨』(1981・ドメス出版)』『尾形明子著『女人芸術の世界――長谷川時雨とその時代』(1980・ドメス出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「長谷川時雨」の解説

長谷川時雨
はせがわしぐれ

[生]1879.10.1. 東京
[没]1941.8.22. 東京
劇作家,小説家。本名ヤス。幼少から文学に親しみ,『海潮音』 (1905) ,『覇王丸』 (08) などの戯曲が懸賞当選して世に出た。さらに『操』 (10,のち『桜吹雪』と改題) が6世尾上菊五郎の出世芸となり劇作家の地位を確立,菊五郎,2世市川猿之助らと組んで新舞踊劇運動を興した。三上於菟吉と結婚後は 1923年『女人芸術』を主宰林芙美子円地文子らを育成。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus「長谷川時雨」の解説

長谷川時雨 はせがわ-しぐれ

1879-1941 明治-昭和時代前期の劇作家。
明治12年10月1日生まれ。長谷川春子の姉。明治38年戯曲「海潮音」が「読売新聞」の懸賞特選,以後「覇王丸」,「(みさお)」(のち「さくら吹雪」と改題)などを発表。夫三上於菟吉(おときち)の援助で昭和3年第2次「女人芸術」を復刊,主宰し,林芙美子らをそだてた。昭和16年8月22日死去。63歳。東京出身。本名はヤス。著作に「近代美人伝」など。

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百科事典マイペディア「長谷川時雨」の解説

長谷川時雨【はせがわしぐれ】

小説家,劇作家。本名康子。東京生れ。最初の結婚に破れたあと,懸賞応募の処女脚本《海潮音》の当選,史劇《桜吹雪》の上演で作家的地位を確立三上於菟吉と結婚,1928年雑誌第2次《女人芸術》を創刊して女性作家の育成に努めた。林芙美子円地文子がここから育っている。
→関連項目青鞜女人芸術

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精選版 日本国語大辞典「長谷川時雨」の解説

はせがわ‐しぐれ【長谷川時雨】

劇作家、小説家。本名ヤス。東京出身。三上於菟吉の妻。明治四一年(一九〇八)「覇王丸」が好評を得、以来劇作家として活躍。特に舞踊劇にすぐれた。昭和三年(一九二八)「女人芸術」を創刊。新舞踊劇「玉はゞき」「江島生島」など。明治一二~昭和一六年(一八七九━一九四一

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世界大百科事典 第2版「長谷川時雨」の解説

はせがわしぐれ【長谷川時雨】

1879‐1941(明治12‐昭和16)
劇作家,小説家,随筆家。東京生れ。本名ヤス。秋山源泉学校で寺子屋教育をうけて後,佐佐木信綱に師事短歌を学んだ。18歳のとき,鉄成金のもとに嫁したが,に染まず,小説,戯曲を書きはじめる。離婚の翌年,1908年に発表した《花王丸》が歌舞伎座で上演され,女流劇作家としての地歩を築いた。《さくら吹雪》《江島生島》などの舞踊劇が代表作。19年通俗小説家三上於菟吉(おときち)と世帯をもち,28年には三上の援助で第2次《女人芸術》を創刊(第1次は23年創刊),林芙美子,円地文子を育成するなど,その美貌と華やかな活動が注目をあつめた。

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世界大百科事典内の長谷川時雨の言及

【女人芸術】より

…劇作家長谷川時雨(しぐれ)が1928年7月から32年6月まで主宰した女流文芸雑誌(全48冊)。女人芸術社発行。…

※「長谷川時雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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