江戸時代の御金改役(あらためやく)。名は庄三郎、のちに庄右衛門。戦国大名長井利治の子孫というが、実は由緒、出身地ともに不明。初め橋本氏(一説山崎氏)を名のったが、京都の金工・大判座(おおばんざ)後藤徳乗(とくじょう)の弟子となり、さらにその父光乗(こうじょう)の猶子となって後藤姓を冒し、光字を許されて光次といった。徳川家康に請われたので、豊臣(とよとみ)秀吉の許可を得て、後藤徳乗の弟七兵衛に従って江戸に下ったが、病身の七兵衛が帰京したのち、かわって徳乗の名代となり、1595年(文禄4)以後家康の下で判金の鋳造にあたり、慶長(けいちょう)(1596~1615)以降は御金改役として金座を統轄し、兼ねて金地金などの鑑定にあたった。また銀座設立にあたって最初の勘定役を選任するなどその人的構成の整備に力を貸している。光次はこのように江戸幕府の幣制確立に貢献するとともに、家康の側近にあって政治や財政の処理にも手腕を振るった。京都の商人田中勝介(しょうすけ)がノビスパニア(メキシコ)に渡海するとき、光次に斡旋(あっせん)を依頼して望みを達したのはその一例である。
[滝沢武雄]
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