徒刑(読み)トケイ(その他表記)tu-xing

デジタル大辞泉 「徒刑」の意味・読み・例文・類語

と‐けい【徒刑】

旧刑法で、重罪人に科した刑。男は島に送り、女は内地労役に就かせたもの。有期無期があった。
」に同じ。

ず‐けい〔ヅ‐〕【徒刑】

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精選版 日本国語大辞典 「徒刑」の意味・読み・例文・類語

と‐けい【徒刑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 律で、五刑(笞・杖・徒・流・死)の一つ。身柄刑期の間拘束し、労役に服させて罪をつぐなわせる。ずけい。
  3. 旧刑法で、重罪に科した刑の名。男は島におくり、女は内地で労役につかせた。無期徒刑と有期徒刑とがあった。
  4. 懲役
    1. [初出の実例]「先づ魁長を梟首し、其余は徒刑に命じ、遠竄し」(出典:公議所日誌‐一五上・明治二年(1869)五月)

ず‐けいヅ‥【徒刑】

  1. 〘 名詞 〙ずざい(徒罪)
    1. [初出の実例]「徒刑の人は、畿内は京師に送り、課役を免し私粮を食せしめ」(出典:古事類苑(1879‐1907)法律三)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「徒刑」の意味・わかりやすい解説

徒刑
とけい
tu-xing

旧中国の強制労働刑。中国では秦,漢 (前2世紀) 以来,強制労働刑が刑罰体系の主要部分を構成するようになっていた。徒とは元来は服役者を意味する言葉であったが,やがて刑罰そのものの名となった。唐律およびそれにならった日本の大宝,養老の律では刑罰を笞,杖,徒,流,死の5種とし, (ず) は3番目におかれている。もっとも徒刑と呼ばれるものの実態については,時代による変遷があった。たとえば,清代においては,徒刑とは,もはや強制労働の実質を有せず,ただ一定年数家郷から離れたある地を指定されて,そこで流謫 (るたく) の生活をおくること,すなわち,有期の流謫刑となっていた。近代的な刑務所の制度と懲役刑が中国に導入されたのは清末以降のことであるが,それに伴って,現代中国では,日本語の懲役に相当するものを,徒刑と呼んでいる。

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普及版 字通 「徒刑」の読み・字形・画数・意味

【徒刑】とけい・ず(づ)けい

五刑の一。労役刑。〔旧唐書、刑法志〕笞(ち)・杖・徒(づ)・・死り、五刑と爲す。~徒刑に五條あり。徒一年より遞(たが)ひに年を加へて、三年に至る。

字通「徒」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「徒刑」の解説

徒刑
とけい

新律綱領(1870)・旧刑法(1880)に定められた刑罰。新律綱領では「各府藩県其徒場ニ入レ地方ノ便宜ニ従ヒ,強弱ノ力ヲ量リ各業ヲ与ヘテ役使ス」とし,刑期は1年から最高3年。その後改定律例(1873)で笞・杖・徒・流の4種の刑は懲役と改められた。旧刑法にも無期・有期2種類の徒刑が定められたが,現行刑法で懲役に一本化された。

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世界大百科事典(旧版)内の徒刑の言及

【刑罰】より

…やがて,フランス刑法を範とした旧刑法(1870公布)は,きわめて多様な自由刑を認めたために,刑名も多くなった。死刑,徒刑,流刑,懲役,禁獄(以上,重罪の主刑),禁錮,罰金(以上,軽罪の主刑),拘留,科料(以上,違警罪の主刑),および,剝奪公権,停止公権,禁治産,監視,罰金,没収(以上,付加刑)がそれであった。現行刑法(1907公布)は,刑の種類をはるかに制限し,徒刑(とけい),流刑(いずれも,犯罪人を離島などの遠隔地に送致し,その地において有期または無期間滞在させる刑。…

※「徒刑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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