御中(読み)オナカ

デジタル大辞泉 「御中」の意味・読み・例文・類語

お‐なか【御中】

(「お腹」とも書く)腹を丁寧にいう語。もと女性語。「お中が痛い」「お中がすいた」
飯・食事をいう女房詞
綿わた真綿をいう女房詞
室町時代武家奥向きに仕えた女中役名中﨟ちゅうろう
[類語]腹部

おん‐ちゅう【御中】

郵便物などで、個人名でなく、官庁会社団体などの宛名の下に書き添える語。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御中」の意味・読み・例文・類語

お‐なか【御中】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. 室町時代、武家の奥向きに奉仕する女中の役名。中臈(ちゅうろう)
    1. [初出の実例]「御なかよりはほうこうしうへは、とうばいまゐる人々」(出典:簾中旧記(1521頃か))
  3. 仲間。集団。
    1. [初出の実例]「よき山師・町人お中に入候はは、御帳のせ候様にと」(出典:梅津政景日記‐慶長一七年(1612)八月一日)
  4. ( 御腹 ) 腹をいう。もと女性語。現代でも「腹」に比べて柔らかい語感があり、女性や幼児が使うことが多い。
    1. [初出の実例]「おなかの痛むにたへずして出でんとしけるが」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))
  5. ( 食卓のまん中に飯を置き、そのまわりに副食物を置いたところから ) 飯、食事をいう女房詞。ごはん。〔大上臈御名之事(16C前か)〕
  6. ( ふとん、着物の中に入れるところから ) 綿、真綿をいう女房詞。
    1. [初出の実例]「御小袖あつ御なかの一進上之」(出典:教言卿記‐応永一三年(1406)九月四日)

おん‐ちゅう【御中】

  1. 〘 名詞 〙 個人でない官庁、会社、団体などへの手紙で、あて名の下に書き添える脇付の語。おんなか。〔英和商業新辞彙(1904)〕

御中の語誌

明治期以前、脇付に用いられていた「人々御中(ひとびとおんなか)」の「人々」の省略形「御中(おんなか)」を音読したものか。明治後期から大正期にかけて、音読した形で脇付語として定着したと考えられる。


お‐ちゅう【御中】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 ) 江戸後期に公家女子が、小袿姿、袿袴姿の時にした髪型。「おすべらかし」の簡略型で、飾りはなく長髢(ながかもじ)を結びつけ、うしろに長く垂らす。

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