御湯殿(読み)オユドノ

精選版 日本国語大辞典 「御湯殿」の意味・読み・例文・類語

お‐ゆどの【御湯殿】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. 湯殿、また、湯あみすることを尊んでいう語。
    1. [初出の実例]「御ゆ殿などありて、絹の御浄衣(じゃうえ)めして出でさせ給」(出典:高倉院厳島御幸記(1180))
  3. 宮中にある天子浴室敬称。平安宮内裏では、清涼殿の西廂(にしびさし)の北西にあり、切馬道(きりめどう)により連なる。
    1. [初出の実例]「早朝供御湯殿、有御禊事」(出典:小右記‐天元五年(982)三月三日)
  4. おゆどの(御湯殿)の儀式」の略。
    1. [初出の実例]「御ゆどのは酉の時とか、火ともして、宮のしもべ、みどりの衣の上に、白き当色(たうじき)着て御湯まゐる」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日)
  5. 御湯殿の儀式に奉仕する女官
    1. [初出の実例]「御ゆどのは、宰相の君、御むかへ湯、大納言の君、湯巻すがたどもの、例ならず様ことにをかしげなり」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日)
  6. おゆどの(御湯殿)の上」の略。
  7. 江戸時代、大名などの入浴に奉仕する女。
    1. [初出の実例]「此和子は夫こそ左中将頼家の惣領。お湯殿(ユドノ)胎内に懐(やどり)給ひし公暁丸」(出典:浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)三)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御湯殿」の意味・わかりやすい解説

御湯殿
おゆどの

御湯殿上」ともいう。禁中清涼殿中,西廂 (ひさし) の北にある方一間の部屋。飲用に用いる湯を常に沸したり,陰 (かげ) の御膳をととのえたりするところ。浴室ではない。

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百科事典マイペディア 「御湯殿」の意味・わかりやすい解説

御湯殿【おゆどの】

平安時代以後,天皇が毎朝湯あみする湯殿の敬称。平安宮内裏(だいり)の清涼殿では西側北方にあった。

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