湯殿(読み)ユドノ

デジタル大辞泉 「湯殿」の意味・読み・例文・類語

ゆ‐どの【湯殿】

入浴するための部屋浴室風呂場
入浴すること。
「御―すべき時もなりぬれば」〈宇津保・蔵開上〉
[類語]風呂風呂場浴室バスバスルーム蒸し風呂浴場内湯内風呂サウナシャワー

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精選版 日本国語大辞典 「湯殿」の意味・読み・例文・類語

ゆ‐どの【湯殿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 浴場。風呂場。浴室。おゆどの。
      1. [初出の実例]「かの北の方湯殿(ユドノ)におりたりける時」(出典:発心集(1216頃か)八)
    2. 入浴すること。湯あみすること。
      1. [初出の実例]「御ほそのを切りて、ゆ殿参る」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    3. 貴人の入浴の時、そば近くにいて奉仕すること。また、その役の女性。おゆどの。
      1. [初出の実例]「今更むかしを思ひいだして、人にこそゆどのさせつれ、人のゆどのをばいかがするやらんと思へども」(出典:御伽草子・鉢かづき(室町末))
  2. [ 2 ]ゆどのさん(湯殿山)」の略。
    1. [初出の実例]「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)出羽三山)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯殿」の意味・わかりやすい解説

湯殿
ゆどの

(1)沐浴(もくよく)には、湯気を出して発汗させる蒸し風呂(ぶろ)形式と、湯を浴びたり湯槽に身体を浸す行水形式のものがあるが、湯殿は後者に入る。入浴するために設けた部屋で、その構造は板敷きで、溝をつくり排水をよくしてある。湯槽が置かれ、別のところで沸かした湯を運び込んで行水する。(2)宮中で天皇が湯浴(ゆあ)みをするところを御(お)湯殿というが、このことばは浴室だけのことでなく、飲用の湯そのほか諸事に使用する湯を沸かしておく座敷も含まれる。湯浴みのための湯もここから持ち運んだ。浴室と区別するため、この座敷をとくに御湯殿上(おゆどののうえ)とよぶことがある。ここには食物などを置くこともあり、また御硯(すずり)、御火鉢、御茶湯棚などにりっぱな調度が整えられてあったともいう。

稲垣史生

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普及版 字通 「湯殿」の読み・字形・画数・意味

【湯殿】とうでん

ゆどの。

字通「湯」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の湯殿の言及

【風呂】より

…フロという語は壁に囲まれた部屋を意味するムロ(室)のなまりとの説もある。もう一方の温湯浴の設備,建物に対しては,〈湯屋〉ないし〈湯殿〉が用いられていた。このように〈風呂〉と〈湯〉の言葉はその内容に応じてはっきりと区別され,中世の後半から近世にかけて都市で普及する〈銭湯〉でも,その施設内容により〈風呂屋〉と〈湯屋〉は区別して用いられている。…

※「湯殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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