循環気質(読み)じゅんかんきしつ

精選版 日本国語大辞典 「循環気質」の意味・読み・例文・類語

じゅんかん‐きしつ ジュンクヮン‥【循環気質】

〘名〙 ドイツの精神医学者クレッチマーによる体質的性格学における類型一つ。快活な気分と憂鬱な気分とが同一人にみられ、その二つの気分の間をゆるやかに動揺する。躁鬱病の基底性格とされる。

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百科事典マイペディア 「循環気質」の意味・わかりやすい解説

循環気質【じゅんかんきしつ】

E.クレッチマーによる気質分類の一類型。ドイツ語Zyklothymieの訳。気分が動揺しやすく,爽快(そうかい)な時と憂鬱(ゆううつ)な時の二つがあるのが特徴。循環気質者は肥満型体格者に多く,一般に開放的,社交的であり他人に親切で現実的環境によく適応するとされる。これの程度のひどいものを循環病質といい,躁鬱(そううつ)病の病前性格に多い。→分裂気質
→関連項目躁鬱質体質肥満型

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「循環気質」の意味・わかりやすい解説

循環気質
じゅんかんきしつ
cyclothymia

循環性格,躁うつ質ともいう。高揚 (爽快) と憂うつ (悲哀) の間を気分が循環して揺れ動き,精神テンポは活発と緩慢の間で波動的曲線をたどる特徴を示す気質。ドイツの精神科医 E.クレッチマー学説で,躁うつ病患者によくみられるが,そのほか正常人でも陽気なおしゃべり,もの静かなユーモリスト,情のある人,のんきな人,精力的な実際家などに多くみられ,一般にこの気質の人は太った体型である。

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世界大百科事典(旧版)内の循環気質の言及

【気質】より


[気質の分類]
 こんにち最もすぐれた気質類型論として通用しているのは,やはりドイツの精神医学者クレッチマーのそれ(1921)であろう。彼は,内因精神病である精神分裂病と躁鬱病をもとにして,正常者の気質を引き出し,これを〈分裂気質〉〈循環気質〉と名づけたが,のちに,癲癇(てんかん)についても同様の分析を行って,これと親和的な〈粘着気質〉を見いだし,こうして三つの基本類型を同じ水準で並列させた。その根拠になったのは,分裂病者や躁鬱病者の病前には特別の気質がある程度まで共通にみとめられること,この同じ気質は彼らの家系のうちにも見いだせること,分裂病や躁鬱病の示す心理的特質はこれらの気質を拡大し誇張したものと考えられることなどで,こうした知見は癲癇病者の場合にも当てはまるという。…

【躁鬱病】より

…(2)体格,性格,発病状況 クレッチマーの研究によれば,躁鬱病者は肥満型に多く,細長型や闘士型には少ない。性格的には社交的,善良,親切,親しみやすいという共通した特徴のある循環気質に属する。このようなクレッチマーの考え方に対して,1930年ころに下田光造が躁鬱病の病前性格として執着性格を提唱した。…

※「循環気質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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