頭蓋骨と、頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜の間に出血がたまって血腫になったものです(コラム頭部の解剖図)。
多くの場合は、硬膜の表面に浮き出たように走っている
血腫により脳が圧迫されて症状が現れます。頭蓋骨の内側の圧が高まり(
血腫の増大による症状の進行は受傷直後のこともありますが、数時間たってから意識がなくなることも多く、注意が必要です。最近の統計では、重症の急性硬膜外血腫の24%で意識障害が遅れて現れています。意識障害出現までの時間はその79%が3時間以内でした。
血腫は頭部CTで白く映ります(高吸収域)。血腫によって硬膜は頭蓋骨からはがれて内側に張り出すので、血腫は凸レンズ型になります。
血腫の大きさと症状の程度によって、緊急に
症状が軽い頭痛や嘔吐だけで血腫が少量の場合は、入院経過観察、あるいは頭蓋内圧亢進に対して脳圧降下薬(グリセオール)の点滴注射が行われることもあります。少量の血腫は、数カ月以上を要することもありますが、自然吸収により消失します。
急性硬膜外血腫単独で、脳の損傷(脳挫傷(のうざしょう)、びまん性軸索損傷(せいじくさくそんしょう)など)を合併していなければ、血腫除去術で脳の圧迫を取り除くことにより、症状の回復が期待できます。ただし、血腫の増大が急速だったり、症状が進行してから発見された場合などで、脳ヘルニアが進行して脳幹の機能が失われた状態では(たとえば呼吸停止)、手術での危険が高く、血腫が取り除かれたとしても、意識障害の後遺症や死亡の危険があります。
最近の統計では、
並木 淳
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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