六訂版 家庭医学大全科 「急性糸球体腎炎の診断」の解説
急性糸球体腎炎の診断
(腎臓と尿路の病気)
まず、原因となった
尿検査では、血尿・
溶連菌の先行感染(病気に先駆けて起こった感染症)が証明され、2週間の潜伏期の後に血尿やほかの症状が出現し、さらに、補体の低下が確認されれば急性糸球体腎炎と診断してほぼ間違いありません。
ここで重要なことは、溶連菌感染から急性糸球体腎炎を起こすのに十分量の抗体が産生されるまで、1~2週間かかることです。これが潜伏期です。かぜ(ウイルス性の上気道炎)をひいた1~3日後に血尿が出た場合は、急性糸球体腎炎ではありません。この場合は、慢性糸球体腎炎がかぜを契機に発症したものと考えられます。急性糸球体腎炎は自然に改善する経過の良好な疾患ですが、慢性糸球体腎炎は違いますので混同してはいけません。
必ずしも必要ではありませんが、診断に疑問が残る場合や重篤な場合は、診断を確実にしたり追加の治療法を検討する目的で、腎生検(背中から腎臓まで針を刺し、腎組織を採る検査)をします。採取した腎組織を顕微鏡で検査すると、確実な診断とともに、組織障害の程度がより詳細にわかります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報