普通列車よりも高速で走行し、主要駅のみに停車する列車。車両設備も良好で、特別料金を必要とし、愛称をもつ。また通常、一部の車両に座席指定がなされている。
[土田 廣]
国鉄(現JR)で初めて急行列車が運転されたのは1887年(明治20)新橋―横浜間であるが、本格的な急行列車としては96年9月から新橋―神戸間を走ったものが最初である。所要時間17時間22分、急行料金は不要であった。1906年(明治39)から新橋―神戸間の列車を「最急行」「急行」「直行」の3種類に分け、このうち最急行に対して特別料金を徴収したのが急行料金の最初である。12年には、名称が「特別急行」「普通急行」と変更され、新橋―下関(しものせき)間に展望車付きの特別急行列車が運行されている。このとき同時に特別急行券を設け、客車に座席番号をつけて座席券を発行した。29年(昭和4)9月、東京―下関間の特急列車に初めて「富士」「桜」の愛称がつけられ、翌30年10月には、東京―神戸間を9時間で結ぶ特急「燕(つばめ)」が誕生した(丹那(たんな)トンネルの開通によって、34年から所要時間は8時間37分に短縮された)。
第二次世界大戦中、一時全廃されていた特急列車も、戦後1949年(昭和24)9月には復活し、東京―大阪間に特急「へいわ」(翌年から「つばめ」と改称)が誕生した。58年11月には初めて電車による特急「こだま」が東京―神戸間に誕生し、東京―大阪間を6時間50分(2年後には6時間30分)で結び、ビジネス特急とよばれた。この年の10月には、特急「はつかり」が上野―青森間に誕生し、以後、全国に特急、急行が運転された。
1964年10月、東京―大阪間に東海道新幹線が開通、超特急「ひかり」によって東京―大阪間が4時間(翌年11月から3時間10分)で結ばれた。これ以後、新幹線網は急速に延び、72年には岡山、75年には博多(はかた)、82年には盛岡、新潟、さらに長野などへと拡大されていった。
また1972年10月から、特急網の整備とともに、自由席をもち、ほぼ1時間ごとに運転される特急(L(エル)特急)が誕生し、以後、新幹線の拡大とあわせて名実ともに特急列車が長距離輸送の中心となった。
[土田 廣]
急行列車の最高時速は、車両の種類などによって異なるが、特急で時速110~120キロメートル、急行で時速95~110キロメートル、新幹線では時速260~300キロメートルになっている。特急・急行料金はそれぞれ距離帯によって定められ、新幹線は在来線とは異なった料金体系をもっている。寝台車やグリーン車の場合は、さらに寝台料金、グリーン料金が加算され、急行座席指定車の場合は、座席指定料金が加算される。
貨物列車の場合には、高速、直行、快速、専用、普通、解結の6種類に分けられているが、このうち高速と直行が急行列車の性格をもつ。ただし、貨物列車の場合は特別料金を必要としない。
私鉄には、普通列車と同等の車両を用いた通勤・通学用の近距離間の特急・急行列車と、特別な車両を用いた行楽客用の特急列車とがある。前者は特別料金が不要で、後者には必要というのが一般的である。
[土田 廣]
1981年9月から営業運転を開始したフランスのTGV(テージェーベー)(最高時速320キロメートル)が世界最高速を誇っている。イギリスでは1980年からHSTとよばれる流線形のディーゼル機関車を両端にもった特急列車インターシティー125(時速125マイル、つまり時速200キロメートル出るという意)が広く使われている。そのほかヨーロッパ各都市間を連絡する国際特急列車網がある。またアメリカにはアムトラック(全米鉄道旅客輸送公社)の大陸横断列車サウスウェスト・チーフ(ロサンゼルス―シカゴ間)などがある。
[土田 廣]
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
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