出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…また昭和に入っては宇野信夫作《巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)》(1935年9月,6世菊五郎主演)などが好評を博した。【小池 章太郎】
[怪談噺]
人情噺を得意とする落語家が,たとえば三遊亭円朝作《怪談牡丹灯籠》(《怪異談牡丹灯籠》)や《真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)》のような因果・因縁物語の途中や終りにおいて幽霊を出す噺をいう。怪談噺を口演する落語家は,高座に背景をかざって,すごい調子で噺をつづけ,いよいよ凄惨の気がクライマックスに達したところで,高座の明りを消し,細い竹の先につけた焼酎火(しようちゆうび)を,高く,低く動かして,いっそう凄味を増し,やがて,高座に青い照明を投げかけると,ドロドロの太鼓とともに,演者の肩のあたりに前座の扮した幽霊があらわれ,ざんばら髪で,両方の手を胸のあたりに七三に下げ,白装束のうすもののすそをひいて,あっちへふわり,こっちへふわり,すり足で歩き,しばらく女性や子どもをおびやかしたあげく,〈はて,おそろしき執念じゃなあ〉というせりふとともに,ぱっと高座をあかるくして,〈まず,今晩はこれぎり……〉と終演した。…
…鳥山石燕の《画図百鬼夜行》のほか《百鬼夜行拾遺》《百器徒然袋》があり,また噺本(はなしぼん)として《百物語》《新百物語》《御伽百物語》《太平百物語》《百物語評判》などが現れた。落語では,〈怪談噺〉という一つのジャンルをなした。怪談【郡司 正勝】。…
※「怪談噺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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