太陽系の惑星の間の空間に,無数に存在している微小な固体粒子,すい星などが放出するガス,太陽から放出される荷電粒子などをいう。とくに微小な固体粒子は惑星間塵と呼ばれる。粒径が1mm以上のものが地球大気に突入すると流星となるが,圧倒的に多いのは粒径が0.1mm以下のものである。惑星軌道面に沿って分布しており,これらが太陽光を散乱して生ずる現象が,黄道光や対日照である。惑星間塵の研究は,主として黄道光の精密観測によって行われるが,近年では惑星間を飛ぶ人工天体による直接測定も行われている。塵の空間密度は,太陽からの距離の1.3乗に逆比例して,外側に向かって減少しており,地球の軌道付近では,1辺が100mの立方体の空間内に1個の割合で存在している。惑星間塵は,惑星と同様に太陽の周囲を公転しているが,微小な粒子であるから,その運動は太陽の引力のほかに,太陽の光圧の影響もうけて,ポインティング=ロバートソン効果でしだいに太陽に近づいていく。それとともに温度が上昇し,太陽半径の4倍くらいの距離で昇華がおこり,それ以上は太陽に近づくことができない。その境界には,昇華中の塵が一時的に滞留するので,太陽をとりまく塵の雲ができていると考えられる。また1983年には,アメリカの人工衛星IRASが,小惑星帯付近に,大きく太陽をとりまく塵の雲を発見した。惑星間塵は,すい星がまきちらしたものという説と,小惑星どうしの衝突でできたものという説があるが,まだよくわかっていない。
執筆者:田鍋 浩義
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