愚公山を移す(読み)グコウヤマヲウツス

デジタル大辞泉 「愚公山を移す」の意味・読み・例文・類語

愚公ぐこうやまうつ

どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがては成就するというたとえ。
[補説]愚公という老人が、交通の便をよくするために一族自宅の前にある山を崩しはじめた。これを見た人が、その愚かさを笑ったのに対し、愚公は、子々孫々続ければいつかは成功すると答えた。その志に感じた天帝一夜で山を移させたという。

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精選版 日本国語大辞典 「愚公山を移す」の意味・読み・例文・類語

ぐこう【愚公】 山(やま)を移(うつ)

  1. ( 中国寓話。昔、愚公という者が、行き来障害になっていた山を他に移そうとして、永年努力したため、神がその志に感じて山を移した、という「列子‐湯問」に見える話から ) 怠らず努力すれば大きな事業も成就するというたとえ。

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故事成語を知る辞典 「愚公山を移す」の解説

愚公山を移す

怠らず努力すれば、どんな大きな事業も成し遂げられることのたとえ。

[使用例] なあ池田君、君も僕も決して利口じゃない、愚公だよ、愚公は愚公らしく根気よく勉強するほうがいい[佐藤紅緑一直線|1930~31]

[由来] 「列子とうもん」に見える伝説から。昔、ある高い山のふもとに、愚公という九〇歳近いお年寄りが住んでいました。あるとき、彼は、通行のさまたげになるのでその山を平らにしてしまおう、と考え、少しずつ崩し始めました。近所の人に、そんな気の遠くなるようなことはできるはずがない、と言われても、「私が途中で死んでも、子孫たちがこの仕事を受け継いでいけば、いつかは完成することだろうよ」という答え。愚公の堅い決意を知った神は、その山をほかへと移してしまった、ということです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愚公山を移す」の意味・わかりやすい解説

愚公山を移す
ぐこうやまをうつす

愚直であっても、たゆまず努力すれば、大事業といえどもなしえないことはないとのたとえ。昔、中国の黄河下流の北岸に太形(たいけい)、王屋という二つの高山があり、その麓(ふもと)に90歳近い老人北山(ほくざん)愚公が住んでいた。交通を妨げているこの山を移そうと思い、子供たち4人と掘り取った土を渤海(ぼっかい)湾まで運んで1往復したら、1年の月日がたっていた。友人で知恵者の知叟(ちそう)が笑ってそれを止めたところ、愚公は「私は一人でも、子も孫もいる。代々子々孫々に及べば、人は絶えない。しかも山はこれ以上高くなることはないのだから、心配は無用だ」と答えた。蛇を操る神が老人の意気に恐れをなし、天帝に申し上げたところ、天帝は愚公の誠心に感じて、この二つの山をよそに運んでこの地を平地にしたとある、『列子』「湯問篇(とうもんへん)」の故事による。

[田所義行]

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