日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦争レクイエム」の意味・わかりやすい解説
戦争レクイエム
せんそうれくいえむ
War Requiem
イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンのレクイエム。第二次世界大戦で破壊されたイギリスのコベントリー大聖堂の再建献堂式(1962)のために作曲された。単に死者の霊を慰める音楽ではなく、戦争という悲劇を二度と繰り返すまいとする願いと誓いが歌われている。歌詞には、通常のレクイエムに用いられるラテン語の典礼文以外に、イギリスの詩人W・オーウェンの詩も使い、全体は六楽章からなる。〔1〕典礼文を歌うソプラノ独唱・混声合唱・管弦楽、〔2〕オーウェンの詩を歌うテノール独唱・バリトン独唱・室内管弦楽、〔3〕ステージの最奥で典礼文の一部を歌う児童合唱、という三つのグループからなる編成で、ブリテンの音楽の集大成ともいえる大規模な作品である。日本初演は1965年(昭和40)。
[三宅幸夫]