戸板返し(読み)トイタガエシ

デジタル大辞泉 「戸板返し」の意味・読み・例文・類語

といた‐がえし〔‐がへし〕【戸板返し】

歌舞伎の仕掛け物の一。「東海道四谷怪談」の3幕目で用いる。戸板表面お岩の、裏面小平死体をくくりつけ、顔にあたる所にあけた穴から役者が顔を出し、二役早替わりをするもの。

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精選版 日本国語大辞典 「戸板返し」の意味・読み・例文・類語

といた‐がえし‥がへし【戸板返】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 歌舞伎の仕掛物の一つ。一枚の戸板の両面に死体をくくりつけて、瞬時表裏を返して早替わりを見せるようにしたもの。「東海道四谷怪談」の隠亡堀(おんぼうぼり)の場で、お岩と小仏小平の死骸をその仕掛けで見せたのが最初とされ、この場の通称ともなる。〔御狂言楽屋本説(1858‐59)〕
  3. 転じて、事態や場面が急変すること。状況がさかさになること。
    1. [初出の実例]「縋(すが)未来に全く吸ひ込まれたる人は、刹那の戸板返(トイタガヘ)しにずどんと過去へ落ちた」(出典虞美人草(1907)〈夏目漱石〉六)

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世界大百科事典(旧版)内の戸板返しの言及

【東海道四谷怪談】より

…戸板を裏返すと小平の死骸があらわれ〈薬を下され〉と言う。伊右衛門は,抜き打ちに死骸を切りつける(戸板返し)。このあと直助,与茂七と3人のだんまり。…

※「戸板返し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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