刹那(読み)セツナ

デジタル大辞泉 「刹那」の意味・読み・例文・類語

せつな【刹那】

《〈梵〉kṣaṇaの音写
仏語時間最小単位。1回指を弾く間に60あるいは65の刹那があるとされる。
きわめて短い時間。瞬間。「刹那の快楽に酔う」「衝突した刹那に気を失う」「刹那的な生き方」
[類語]瞬間一瞬瞬時とっさ一刹那寸時片時数刻寸刻一刻束の間たまゆら須臾しゅゆ電光石火短いしばらしば暫時少時ひとしきり時の間瞬く間見る間に一時いっとき一時ひととき半時寸陰短時間一時一時的かりそめ短日月短時日一朝一朝一夕寸秒はかないあっと言う間間髪をれず

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精選版 日本国語大辞典 「刹那」の意味・読み・例文・類語

せつな【刹那】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] kṣaṇa の音訳。念頃(ねんきょう)、念などとも訳する )
  2. 仏語。時間の最小単位。きわめて短い時間。一説に六十五刹那を一弾指という。また、一刹那は一念であるが、ときに六十刹那を一念とするともいう。せちな。
    1. [初出の実例]「文殊、獅子にのりて刹那のあひだに到りて、問ひ給はく」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    2. 「母が最期の一句の詞〈略〉骨にしみ五臓に徹しせつなも忘るる事はなし」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)五)
    3. [その他の文献]〔勝鬘経‐一乗章〕
  3. 数の単位の一つ。非常に小さい数の単位で、10-18 にあたる。

刹那の補助注記

元来、仏語だが、日本では古くから和文にも取り込まれ、「に」を伴って副詞的に用いる例も見られる。


せち‐な【刹那】

  1. 〘 名詞 〙せつな(刹那)
    1. [初出の実例]「長き千代にも更(か)へがたの 刹那(セチナ)の酔にあくがれむ」(出典:二十五絃(1905)〈薄田泣菫〉公孫樹下にたちて)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「刹那」の意味・わかりやすい解説

刹那
せつな

仏教における最小の時間単位。サンスクリット語クシャナkaaの音訳。『大毘婆沙論(だいびばしゃろん)』巻136の譬喩(ひゆ)的説明によると、「2人の成人男子が何本ものカーシー産絹糸をつかんで引っ張り、もう1人の成人男子が中国産の剛刀でもって一気にこれを切断するとき、1本の切断につき64刹那が経過する」と述べられている。2人の男がかりに5000本の絹糸をつかんだとすると、剛刀による一瞬の切断で5000×64刹那の時間が経過するから、1刹那の短さが想像されよう。『大毘婆沙論』同所の科学的説明によると、1昼夜=30須臾(しゅゆ)、1須臾=30臘縛(ろうばく)、1臘縛=60怛刹那(たんせつな)、1怛刹那=120刹那である。1昼夜を24時間として計算すると、1刹那は75分の1秒になる。仏教哲学では「刹那」は、物質的、精神的、なかんずく精神的な現象の瞬間的生滅を説明するときに使われる。なお、今日の「刹那主義」ということばの概念は仏教のものではない。

[定方 晟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「刹那」の意味・わかりやすい解説

刹那
せつな

サンスクリット語 kṣaṇaの音写。叉拏(しゃな)とも音写され,念頃(ねんきょう)とも漢訳される。インドで用いられた,きわめて短い時間を表す単位。1刹那は現在の単位にすれば 0.013秒ぐらいにあたる。また 1弾指(たんじ),すなわち指をはじき鳴らす間に 65刹那が費やされるともいわれる。

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デジタル大辞泉プラス 「刹那」の解説

刹那

日本のポピュラー音楽。歌と作詞作曲はJ-POPグループ、GReeeeN(グリーン)。2009年発売。フジテレビ系で放送ドラマヴォイス~命なき者の声~」の主題歌

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普及版 字通 「刹那」の読み・字形・画数・意味

【刹那】せつな

一瞬。

字通「刹」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の刹那の言及

【時刻】より

…夜のこの時法は〈更〉という表現が用いられ,それぞれ初更,2更,3更,4更,5更ともいわれた。 インドの時法で仏典に見えるものは,最短時間を刹那,120刹那を呾刹那,60呾刹那を1臘縛,30臘縛を1牟呼栗多,5牟呼栗多を1時,6時を1日としているが,どこまで実用されたものかわからない。
[日本の時刻制度]
 多くの文化を大陸から受けた日本では,朝鮮,中国との交渉が始まった古代すでに時刻の観念があったと考えられるが,それらの詳細を知る資料はまったくない。…

※「刹那」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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