打出浜(読み)ウチデノハマ

デジタル大辞泉 「打出浜」の意味・読み・例文・類語

うちで‐の‐はま【打出浜】

滋賀県大津松本町付近の琵琶湖岸の名称うちいでのはま。[歌枕
近江なる―のうちいでつつ怨みやせまし人の心を」〈拾遺・恋五〉

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精選版 日本国語大辞典 「打出浜」の意味・読み・例文・類語

うちで‐の‐はま【打出浜】

  1. 滋賀県大津市、琵琶湖畔の地名。うちいでの浜。うちで浜。歌枕。
    1. [初出の実例]「しらなみのうちでのはまの秋風にしかのはつねをそへてきくかな」(出典:能宣集(984‐991))

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日本歴史地名大系 「打出浜」の解説

打出浜
うちでのはま

中世の松本まつもと南東、現在の馬場ばんば湖岸に面した浜をいうか。山城方面からの逢坂おうさか越の道は、古くは北進して大津に入らず東に直進して琵琶湖に向かっていたと推定され、逢坂越谷口より打出た浜の意味で、打出浜と名付けられたのであろう。「万葉集」巻一三には「逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花に波立ち渡る」の歌が載り、歌枕としても知られる。なお「輿地志略」は松本村から馬場村までの浜とする。

大和物語」によると、延喜一七年(九一七)九月、近江国司は石山いしやま寺参詣を終えた宇多法皇を打出浜に迎えるにあたり、仮屋を建てて大友黒主を待機させている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「打出浜」の意味・わかりやすい解説

打出浜
うちでのはま

滋賀県大津市松本町付近の古地名。「うちいでのはま」ともいう。現在は琵琶(びわ)湖岸の埋立て造成地となっている。かつては歌などに詠まれた景勝の地で『枕草子(まくらのそうし)』に「浜は打出浜」とあり、『大和(やまと)物語』には宇多(うだ)天皇石山詣(もう)での際、この浜に行在所(あんざいしょ)を設けたという記事がある。『拾遺集(しゅういしゅう)』の「近江(おうみ)なる打出浜のうち出でて恨みやせまし人の心を」(読人しらず)の歌はことに著名

高橋誠一

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世界大百科事典(旧版)内の打出浜の言及

【観応の擾乱】より

…西国では直冬が少弐氏以下に支持されて反撃に転じ,関東では両執事のうち直義党の上杉憲顕が師直の甥高師冬をたおし,奥州では両管領のうち直義党の吉良貞家が師直党の畠山国氏を滅ぼした。畿内近国でも51年(正平6∥観応2)正月,直義党の桃井直常斯波高経吉良満貞らは義詮を駆逐して京都を占領し,さらに2月には直義軍は摂津打出浜(うちではま)に尊氏軍を破った。尊氏は,直義に和睦を申し入れ,帰京の途についたが,高師直は一族とともに,上杉重能の養子上杉能憲らに襲われて殺された。…

※「打出浜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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