おし‐だし【押出】
- 〘 名詞 〙
- ① 物を押して出すこと。
- ② 人なかに出た時の態度、風采。風格。貫祿。
- [初出の実例]「おしだしはしんうちめかせど、わざはいっかうなものとおもわれたり」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三)
- ③ 相撲のきまり手の一つ。両手を相手の胸またはわき下に当てて押し、土俵外に出す技。
- ④ 野球で満塁の時、打者が四死球などで一塁を与えられた場合、走者は順次進塁を許され、三塁のランナーがホームインすること。
- [初出の実例]「三高は〈略〉四球を取り押出(オシダ)しの一点を拾って同点」(出典:日本野球史(1929)〈国民新聞社運動部〉三高、一高に挑戦)
- ⑤ 歌舞伎で、大道具の下に車をつけ、後ろから舞台の前へ押し出すこと。
- [初出の実例]「いざり景清の役者おし出しにて出る」(出典:黄表紙・玉磨青砥銭(1790))
- ⑥ 火山の山腹に溶岩、泥流などが流れ出ること。また、その溶岩、泥流など。
- [初出の実例]「西沢渡には押出が出ている」(出典:山への誘い(1957)〈黒田初子〉二)
- ⑦ 金属製品、炭素製品、プラスチック製品を製作する工法の一つ。材料を、必要な形の穴を通して押し出して製造する。主として管や棒状のものを作るのに用いられる。
おし‐いだし【押出】
- 〘 名詞 〙
- ① おし出すこと。押しだし。
- ② 平安時代以降、貴族が儀式や見物の折に、御簾(みす)の下から女房の装束の一部、特に袖裾を出して、表着・打衣・袿などの表と裏の地色のかさなりを見せること。また、その衣(きぬ)。その豪華華麗さから権勢のほどや自家の美意識を表わした。平安末期には装束だけを並べることやその装束一揃いをもいうようになった。おしいだしぎぬ。いだしぎぬ。→打出(うちいで)。
- [初出の実例]「紅葉重(もみぢがさね)のをしいたし見ゆ」(出典:中務内侍(1292頃か)正応元年一〇月二一日)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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