標準的な世帯が一定の標準的な生活水準を維持していくのに必要な生計費の相対的変化をあらわす指標をいう。これは家計の段階でとらえた物価指数のひとつといえるが,これと同じ性質をもつ消費者物価指数と異なるところは,生計費指数が一定階層の勤労世帯だけを対象として算出されるのに対して,消費者物価指数は勤労世帯に限らず一般に消費者全体を対象として算出されることにある。
生計費指数の計算にあたっては,消費される財・サービスの価格だけでなく,それらの支出構成も考慮されなければならない。指数算出のための生計費の算出方法としては,(1)実際の家計調査の結果得られた消費支出の内容にもとづいて行う方式である実態生計費あるいは経験的生計費と,(2)ある理論的基準,つまり,栄養学,生理学および経済学などを含む労働科学的な計測にもとづいて行う方式である理論生計費とがある。
→物価指数
執筆者:貝山 道博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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