景気動向指数(読み)けいきどうこうしすう

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

景気動向指数

内閣府経済社会総合研究所が毎月発表する、総合的な景気状況の判断指標。具体的には、複数の指標を3カ月前の水準と比較して「改善(プラス)」「変化なし(横ばい状態)」「悪化(マイナス)」に分類。総合的に分析・評価する。その指数が50%を上回っていれば景気は上昇傾向、下回っていれば下降傾向にあると判断できる。景気の転換局面をとらえる上で重要な意味を持つ。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

景気動向指数

生産、雇用、販売など景気に連動する28の経済指標を、前月からの変化率を平均するなどして算出したもの。企業の生産活動を色濃く反映する。景気の現状を示す「一致指数」、数カ月先を示す「先行指数」、景気に遅れて反応する「遅行指数」の三つがある。内閣府は2008年4月から毎月、一致指数をもとにした景気の暫定的な基調判断を発表している。

(2012-11-07 朝日新聞 朝刊 2総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

けいきどうこう‐しすう〔ケイキドウカウ‐〕【景気動向指数】

内閣府が毎月公表する産業・労働・金融などさまざまな経済活動で、景気に重要かつ敏感な複数の指標動向をもとに算出した統合的な景気指数。景気の予測や現状判断、確認などに利用される。景気の局面判断や転換点判定に有効なディフュージョンインデックスDI)と、景気動向の大きさやテンポなど量感を把握できるコンポジットインデックスCI)があり、DIとCIのそれぞれについて先行指数一致指数遅行指数がある。平成20年(2008)4月から内閣府は、DI中心の公表から、国際的な主流となっているCI中心の公表へと移行した。→業況判断指数

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

景気動向指数【けいきどうこうしすう】

景気の転換点を把握するために作成された指数。略称DI(Diffusion Index)。経済企画庁が毎月発表しているDIは,景気に反応しやすい20〜40前後の系列を選び,各々の系列について3ヵ月前と比較して増加しているときにはプラス,減少しているときにはマイナスとして,プラスの個別指標がどれだけあるのかを百分比で示す。予測性の向上のため,過去の景気の転換点(山と谷)に対する指標の時間的先行性,一致性,遅行性の3種類に分けて分析し,それぞれの指数を先行指数(通貨供給量などの13系列),一致指数(百貨店販売額などの11系列),遅行指数(法人税収入などの8系列)という。一致指数が50%を上回っているときは景気の上昇局面,これを下回るときは下降局面である。正確な判断のためにはこれらの指数を総合的に判断する必要がある。なお,DIとは別のCI(Composite Index)という指数もあるが,これはそれぞれの指標の変化率を基準として,景気変動の大きさやテンポも測定しようというもので,欧米ではこれが代表的である。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

大辞林 第三版の解説

けいきどうこうしすう【景気動向指数】

内閣府が毎月発表する、景気の動向をとらえるための指数。鉱工業生産指数・製品在庫率指数・完全失業率などの指標を組み合わせて作成。 〔2008 年(平成 20)4 月速報より、景気に敏感な諸指標のうち上昇(拡張)を示している指標の割合を示す DI 中心から、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標 CI 中心に公表されるようになった〕 → DICI

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

景気動向指数
けいきどうこうしすう
diffusion index; DI

景気の現状,転換点および先行きを総合的に把握,判断するための総合指数。日本においては内閣府が 30系列の代表的な景気指標を作成,公表している。景気動向指数は技術的には全採用系列数に占める拡張系列数の個数についての算術平均による割合で示されるが,それは次のような意味をもっている。 (1) 指数の値が 50%より大きいとき景気は上昇局面にあり,小さいとき下降局面にある。 (2) 指数の値が 50%ラインを上から下に切るときは,景気が上昇から下降へ転じる時点,すなわち景気の山を意味し,下から上に切るときは,下降から上昇へ転じる時点,すなわち景気の谷を意味する。景気動向指数は採用される個々の指標の性質によって,先行系列,一致系列および遅行系列による景気動向指数の3部分指数に分解されるが,これらの動きを的確につかむことによってより正確な景気分析が可能となる。 (→景気予測 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

景気動向指数
けいきどうこうしすう

政府機関によって、その国の経済動向を示す各種の統計資料を合成することにより経済全体としての景気の動きを把握するように作成される指標。内閣府が毎月公表する。経済の動きは、企業の現在の生産活動、国民の日常消費活動、商業分野の販売動向、企業の将来生産活動のための設備投資行動や新規の雇用状況など、さまざまな活動を包含している。そのような個別の経済活動を包含する経済全般のよしあしを表現するものが景気であるが、その景気が現在どのような状況にあるのか、また近い将来において上向くのか下降へ向かうのかを適切に判断することは、一般家計にとっても企業にとっても重要な意味をもつ。とくに、政府や中央銀行などの経済政策を担当する機関にとっては、国民経済の適切な運営という点において、現在および近い将来の景気動向を的確に把握し予測することは基本的に重要な仕事となる。景気動向指数はこのような認識と目的から作成される。[高島 忠]

指数作成の経緯

経済の動向を一つの数字で把握する景気指数の作成作業は、第二次世界大戦前にアメリカで開発されたハーバード景気指数とよばれるものが最初とされている。その後、それを改良する作業がやはりアメリカのNBER(National Bureau of Economic Research)という経済研究機関によって行われ、1950年代の前半にDI(ディフュージョン・インデックスdiffusion index)とよばれる景気の変動方向を把握する指数が考案された。ついで同じNBERによって景気の強さや変化の速さなど、景気変動の量的な把握が可能となる指数としてCI(コンポジット・インデックスcomposite index)が1960年代の後半に開発された。その後も指数改良の努力が続けられており、新指標の提案なども行われている。[高島 忠]

DIとCI

現在のところ、世界で実際に採用されている景気指数はDIとCIである。日本では、1960年(昭和35)から当時の経済企画庁がDIを作成し、「景気動向指数」として公表してきた。その後、しだいにCIを採用する国が多くなり、日本でもDIを基本としつつCIを参考資料として作成、公表してきたが、2008年(平成20)4月からは両指数の取り扱いを逆転させてCI中心の公表形態とし、DIを参考資料として提示することになった。従来使われてきたDIが景気の変化方向を示すのに対して、CIは変動の大きさや速度を示す内容の指数であり、両指数をあわせ考察することによって、より適切な景気判断が可能になる。[高島 忠]

日本の景気動向指数

両指数の概要を、2011年10月改定の日本の「景気動向指数」(内閣府経済社会総合研究所が作成)についてみると次のとおりである。指数作成に用いられる景気指標としての経済統計の数は28系列。採用される具体的な統計系列および系列の全体数は、おおよそ景気が1循環するごとに見直される。それらの統計系列は景気の動きに先んじて変動する性質をもつものとしての先行系列(最終需要財在庫率指数、新規求人数、東証株価指数など)、景気の動きと一致して動くと考えられる一致系列(鉱工業生産指数、大口電力使用量、商業販売額など)、そして景気の動きに追随して変動するとみられる遅行系列(製造業常用雇用指数、家計消費支出など)の3種に分けられる。2014年時点の系列数としては、先行、一致、遅行のそれぞれについて11個、11個、6個の統計系列が採用されている。3種の統計系列から、景気の先行きを予測するための先行指数、景気の現状把握に使う一致指数、事後的な確認に用いる遅行指数の3種の景気動向指数を作成する。
 各月の景気指数の具体的な作成方法は次のとおりである。まず、DIとは、各採用系列について3か月前の値と比較して上昇(景気がよくなると統計数字が低下する逆サイクル系列の場合は下降)した拡張系列の数を分子に置き、採用全系列の数を分母に置いて計算される拡張系列割合(%)のことである。この際、系列指標が3か月前の数字と変わらなかった系列については分子の数に0.5の値を入れて計算する。したがって、DIは景気の動きの強さとは関係がなく、50%を境に景気の改善、後退という変化の方向を示す指数となる。[高島 忠]

新指数CIの作成方法と特性

CIは統計数字のもつ量的な大きさの動きを景気情報として把握するための指数とされるため、DIよりも作成方法はかなり複雑となる。まず、採用された統計系列は、それぞれが異なる経済現象の動きを示す数字であるために、小さい変動でも景気への影響としては大きな意味をもつものもあれば、大きな変動でもその数値変動の大きさと比べて景気変動の意味は小さい系列もある。したがって、これらの異なる性質の情報量をもった統計系列を、すべての系列の動きが大きさの点で同じ意味をもつ無名数に統一する必要がある。この作業を各系列の基準化という。すなわち、CIの作成には、まず採用各系列について基準化を行う。基準化の方法は、各系列について前月に対する変化率変換を行い、その系列について趨勢値(すうせいち)(変化率の平均値)と振幅(変化率の標準偏差)を計算する。そして、各月の変化率から趨勢値を差し引き、その値を振幅で割るという手続を採用する。こうして得られた数字は原系列を変化率に変えたものを、系列を通じて動きを基準化したものであるところから基準化変化率とよばれる。これによって各採用系列の動きが生の統計の動きの大小からくる影響を取り除いた系列に変換されたため、先行、一致、遅行の各系列群について当該月の所属系列の平均値をとることが可能になる。これが合成基準変化率である。さらに、各系列群の趨勢値と振幅の各平均値を用いて、系列群のそれぞれについて1個の合成変化率が得られる。最後に、前月のCIに当月について計算された合成変化率を乗じることによって、当月のCIが得られることになる。
 このようにCI作成はかなり複雑であるが、それだけこの指数には、景気敏感系列の各採用指標の動きの表す大きさや変化の速さまでの情報、いわゆる「量的」情報を温存するものであるところから、その意味するところはDIよりもはるかに豊かであり、CIの一致指数の数値の上昇・下降と景気の拡張・後退の各局面は符合し、指数の変化の大きさは景気の拡大、後退の速さをも示すとみることができる。このようなことから、今日では、世界の主要な国々や国際機関においては、CIが景気変動の標準的指標として使われるようになっている。[高島 忠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の景気動向指数の言及

【景気指標】より

…第1は,経済統計そのもので,鉱工業生産指数,物価指数,GNP(国民総生産),企業収益といった統計がここに含まれる。第2は,とくに景気状況を判断するためにくふうされた指標で,景気動向指数あるいはディフュージョン・インデックスdiffusion index(DIと略称)と呼ばれる。第3は,企業や家計による売上げや所得の予想を示す指標で,サーベイ・データがこれに当たる。…

【景気循環】より

… そこで,西ドイツ型の諸国の場合と,西ドイツ型に準西ドイツ型の諸国も含めた場合とについて,それらの諸国でのGFCF・GDP比率に現れた中期循環の一般的状況を検討し,それによって,まずヨーロッパ地域における景気循環の状況をみることにする。この場合,検討対象とした個々のヨーロッパ諸国のGFCF・GDP比率の動きから,ヨーロッパ地域全体での景気循環の状況をとらえるため,GFCF・GDP比率にもとづく景気動向指数(ディフュージョン・インデックス,DI)を作成した。 景気動向指数(景気指標)というのは,景気の動きを判断するために選ばれた複数個の経済指標系列のそれぞれについて,その数値が前月(あるいは前年)に比べて増加している場合には1の値を,増減のない場合には0.5の値を,そして減少している場合には0の値を与え,対象系列全体についてこれらの得点総計を対象系列数で割って,その結果を百分率で示したものである。…

【経済予測】より

…また対象となる個別経済量も,通常の経済量の代りに,前期に比べて上昇中のものは1,下降中のものは-1,変わらないものは0,というように,なまの経済量を加工,簡単化したものをとることもできる。このように,経済量がとる値を1,0,-1といった,簡単な一種の景気指標に変換したうえで,各種経済量グループ間の先行―遅行関係を見いだし,その関係を使って先行グループ指標の動きから遅行グループ指標――一致指標,遅行指標――の動きを予測する,といういき方が,ディフュージョン・インデックス(景気動向指数)による景気予測の手法である(〈景気指標〉の項参照)。先行指標予測の場合も,原則的に経済理論的関係は利用しない点は,外挿的予測の場合と同様である。…

※「景気動向指数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ノンフィクション本大賞

全国の書店員が選出する「本屋大賞」の部門賞の一つで、日本語による優れたノンフィクション作品(海外作品の翻訳本は除く)に贈られる賞。正式名称は「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

景気動向指数の関連情報