中国で、歴代の王朝政府が財政の困窮を補うために、人民に金銭もしくは米穀などを納入させることによって、官位、爵位などを与える制度。捐は「寄付する」の意で、捐輸、捐官ともいう。秦(しん)の始皇帝のときに始まるといわれ、当初は爵位だけであったが、漢の武帝のとき、売爵のほかに初めて官を与えた。その後、歴朝において財政窮乏の対策としてしばしば行われたが、明(みん)の景泰(けいたい)年間(1450~57)以来、国子監(こくしかん)生の資格を与えて捐監とよばれ、しだいに恒常的な制度となった。清(しん)では三藩(さんぱん)の乱(1673~81)以後、捐納を利用することが甚だしく、とくに太平天国の乱(1850~64)のときには釐金(りきん)税とともに軍費の財源の主要部分を占めた。さらにその適用範囲も、一般庶民の売官のほか、官吏の昇官および降級・罷免の回復などにも拡大された。その後も財政上、捐納はますます行われ、清末の官界の腐敗、堕落を助長する要因となった。
[佐久間重男]
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…一般には官職売買ともいわれる。
[中国]
中国の場合,時代により貲選(しせん),進納,捐納(えんのう)など呼称は変わるが,米穀または金銭上納の代償として爵位,官職を与える制度は秦・漢にさかのぼる。納粟授爵は商鞅(しようおう)時代にあったとされるが,始皇帝4年(前243)には粟千石を納めれば爵一級が与えられた。…
※「捐納」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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