掃海(読み)ソウカイ(その他表記)mine sweeping

デジタル大辞泉 「掃海」の意味・読み・例文・類語

そう‐かい〔サウ‐〕【掃海】

[名](スル)航路の安全を確保するため、海中敷設された機雷や不発爆弾などを捜索して除去すること。「湾内掃海する」

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精選版 日本国語大辞典 「掃海」の意味・読み・例文・類語

そう‐かいサウ‥【掃海】

  1. 〘 名詞 〙 機雷敷設のおそれのある海域を捜索し、処分あるいは除去する作業
    1. [初出の実例]「和尚島附近を掃海(サウカイ)せしむ」(出典愛弟通信(1894‐95)〈国木田独歩〉大連湾進撃)

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改訂新版 世界大百科事典 「掃海」の意味・わかりやすい解説

掃海 (そうかい)
mine sweeping

機雷が敷設されている危険な海域を掃海艇または掃海用ヘリコプターにより,掃海具を曳航し,機雷を爆発処分して安全な海域にすること。掃海法には,磁気機雷音響機雷のような感応機雷を掃海する感応掃海と係留式の機雷を掃海する係維掃海がある。

(1)感応掃海 磁気機雷や音響機雷は,もともと艦船の船体磁気や航走音のような物理現象により,爆発するようになっている。したがって磁気機雷や音響機雷のような感応機雷を掃海するためには,実際の艦船が発生するような船体磁気や航走音に類似した擬似信号を機雷に与えてやれば,必ず掃海できるはずである。感応掃海は,このように機雷の起爆原理にあわせた掃海法で,磁気機雷に対しては磁気掃海具が,また音響機雷に対しては音響掃海具がある。このうち磁気掃海具は,長さ数百mの浮上式の電線電流を流し,その電流を変化させ,船体磁気に類似した磁気信号を発生するようになっている(図)。音響掃海具については,その発音方式により,いろいろな方式があるが,代表的なものは水中曳航体に振動板,振動機構および電動機を備え,電動機の回転数などを変えることにより,艦船の航走音に類似した水中音を発生するようになっている。これらの磁気掃海具や音響掃海具は,掃海艇や掃海用ヘリコプターにより曳航される。最近は掃海効率を高めるため,この二つの掃海具を同時に曳航し,磁気機雷と音響機雷を同時に掃海する複合掃海が一般化されている。

(2)係維掃海 係維掃海は,係留式機雷の弱点である係留索を切断する掃海法で,その掃海具が係維掃海具である。係維掃海具は数個以上のカッターを取り付けた数百mの掃海索をたこの原理を応用した展開器と沈降器により左右に展開し,一定の深度で曳航するようになっている。カッターにより係留索を切断された機雷缶は,その浮力により水面に浮上する。この浮上した機雷缶は,掃海艇あるいは掃海ヘリコプターに備えられた機銃により,銃撃処分される。

掃海の同義語に掃討mine huntingがある。掃討は現用掃海具で掃海が困難な水圧機雷や掃海防止装置が組み込まれた機雷,あるいは上昇型のような危険な機雷に対する一種の機雷処分法で,掃海艇の安全性を守るため,前方で行うところに特徴がある。掃討の要領は,掃海艇の艇首に備えられた音響機雷探知機により機雷を1個ずつ探知し,リモートコントロールによる航走体により,処分用の爆薬を機雷の近傍に運搬設置して爆破処分する。今後は機雷が進歩,複雑化するにつれ,掃討がますます重要視されるであろう。
機雷
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百科事典マイペディア 「掃海」の意味・わかりやすい解説

掃海【そうかい】

敵が敷設(ふせつ)または投下した機雷を探知し除去すること。日露戦争で水雷艇などが行ったのが最初で,第1次大戦には掃海艇が曳航(えいこう)する掃海索などで機雷の係留索を切断,浮上させ銃撃により爆発させた。第2次大戦以後は感応機雷が主となったので,それに対応した特殊な掃海具を使用するようになった。
→関連項目掃海艇

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「掃海」の意味・わかりやすい解説

掃海
そうかい
mine sweeping

機雷の設置されている海域を小型艦艇 (掃海艇) などにより,水上艦または潜水艦の発する推進器音または船体磁気と同等な擬似信号を発生する掃海具を引き,機雷に対し,あたかも近傍を艦船が通過したかのような状況を作為し,誤発火させる機雷処分法。通常,掃海用ビークルとしては,艦艇磁気および推進器音を局限するため,木造などの非磁性材料で建造された小型艦艇ならびに大型ヘリコプタが運用される。

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