排律(読み)ハイリツ(その他表記)Pai-lü

デジタル大辞泉 「排律」の意味・読み・例文・類語

はい‐りつ【排律】

漢詩近体詩一体律詩を引き伸ばした、五言または七言の10句以上の偶数句からなる詩体最初最後とを除く他のれんがみな対句をなす。長律

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精選版 日本国語大辞典 「排律」の意味・読み・例文・類語

はい‐りつ【排律】

  1. 〘 名詞 〙 漢詩の近体詩の一体。律詩の六句以上に長くのびた詩型。六韻一二句、八韻一六句のものが多いが、五十韻百韻に達するものもある。多く五言であり、七言排律は少ない。長律。
    1. [初出の実例]「貴稿中鯫生等の字は、排律或は尺牘などにつかふ詞なり」(出典:蛻巖先生答問書(1751‐64か)下)
    2. [その他の文献]〔文体明弁‐排律詩〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「排律」の意味・わかりやすい解説

排律
はいりつ
Pai-lü

中国の詩体の一つ。長律ともいう。唐代に定まったいわゆる近体詩に属する。律詩変形で,平仄 (ひょうそく) ,押韻などの規則はすべて律詩と同じで,ただ1首が 10句以上から成り,首聯と尾聯を除く中間の各聯はすべて対句を用いる。1句が5言から成る五言排律が通常で,七言排律はまれである。 10句あるいは 12句の作品が多いが,100句以上のものもある。

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世界大百科事典(旧版)内の排律の言及

【韻律】より

…このサイクルをさらに1個以上組み合わせて近体を構成するが,2個以上組み合わされる場合でも,サイクルはもはや変化せず,同じパターンのサイクルが繰り返される。 サイクルが1個であれば絶句,2個であれば律詩,3個以上ならば排律である。近体においては最初の音歩が平仄のいずれかに定まれば,全体の韻律が定まってしまい,基本的には韻律は平起式と仄起式の二つしかない。…

【律詩】より

…最小限の4聯のものが狭義の律詩で,ふつう律詩といえば,これをさす。5聯以上のものを排律あるいは長律という。排律はほとんど五言にかぎられる。…

※「排律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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