掬う(読み)スクウ

デジタル大辞泉 「掬う」の意味・読み・例文・類語

すく・う〔すくふ〕【×掬う/抄う】

[動ワ五(ハ四)]
手のひらさじなど、くぼんだ形のものを使って、液状・粉末状のものの表面に近い部分を、えぐるようにして取り出す。また、手のひらやさじなどで、液体の表面に浮いているものやその中にあるものを、下から受けるようにして取り出す。「手で水を―・う」「さじで砂糖を―・う」「杓子であくを―・う」「メダカを―・う」
下から上へすばやく持ち上げる。また、下から持ち上げるようにして横にはらう。「足を―・われる」「小股を―・う」
[可能]すくえる[ア下一]
[類語]くむさらうしゃくうしゃくる掬い上げる掬い取る・掬い出す・掻い出す掻い出す汲み取る汲み上げる汲み出す汲み干す汲み入れる汲み込む

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掬う」の意味・読み・例文・類語

すく・うすくふ【掬・抄】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 液状や粉末状のものを、手・匙(さじ)柄杓(ひしゃく)・網などで上へかすめるようにして取り出す。また、液状の物の中から物を取り上げる。くみあげる。しゃくる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「なべに煮ける物をすくひくひけるほどに」(出典:古本説話集(1130頃か)二五)
  3. 物を上へ持ち上げる。下から上へ急に持ち上げる。かきすくう。
    1. [初出の実例]「乗りたる馬を主共に中にすくうて投げ上げ」(出典:曾我物語(南北朝頃)八)
  4. かいくる。繰る。
    1. [初出の実例]「馬の足のとづかん程は、手綱をすくうて歩ませよ」(出典:源平盛衰記(14C前)一五)
  5. 横にはらう。かきさらう。
    1. [初出の実例]「横さまに払ふ風強くて、足をすくはるるも尠(すくな)からず」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一三)
  6. 米相場師仲間で、米の転売、買戻しによって、わずかな利益を得る。また、すべてもうけとなることもいう。
    1. [初出の実例]「すくふて足とせざるは天神金毘羅の朝参りにみへたり」(出典:洒落本・北華通情(1794))

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