(読み)ジョウ

デジタル大辞泉 「掾」の意味・読み・例文・類語

じょう【×掾】

律令制で、国司の第三等官。→判官じょう
近世以降、主として浄瑠璃太夫に与えられた称号大掾・掾・少掾の3階級があり、当人1代に限る。「竹本筑後

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精選版 日本国語大辞典 「掾」の意味・読み・例文・類語

じょう【掾】

〘名〙
① 中世以降、町人職人芸能人など地下(じげ)の者が受領した名誉称号。
② 特に近世以降、浄瑠璃の大夫に与えられた称号。竹本筑後掾豊竹越前少掾など当人一代限りで最高の栄誉として与えられた例が多い。
※諸職受領調(17C末頃)「山城掾」

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改訂新版 世界大百科事典 「掾」の意味・わかりやすい解説

掾 (じょう)

芸能人に与えられる名誉号。もとは律令制の地方官に与えられる3番目の官名。守,介の次,目(さかん)の上に位する。律令制が崩壊した中世以降,職人,芸能人などが受ける名誉号となり,近世では多様な職人や芸能人に宮中宮家から与えられた。近世中期以降,ことに浄瑠璃太夫にかぎられ,大掾,掾,少掾の3階級に分けられ,掾号を受領することは,最高の名誉とされた。
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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【国司】より

…こうして令制的な国司制は斉明朝ころには全国的に成立し,その国司の下で編戸,里制の整備,戸籍の作成,班田の実施などが着々と進められたが,大税の管理権など,その権限はまだ制限されていた面もあったようで,国司制が完成の域に達したのは,大宝律令の制定(701)によってであった。
[制度]
 表のごとく,全国約60の国は大・上・中・下の4等級に分けられ,国司はその等級によって定員を異にしたが,その官制は守(かみ)(長官),介(すけ)(次官),掾(じよう)(判官),目(さかん)(主典)の四等官と史生(ししよう)(書記)から成っていて,これらは中央官人が6年(のちに4年)の任期で赴任し,その下に多数の現地出身の属吏がいた。職員令の規定によると一般の国の守は,祠社,戸口,簿帳,百姓の字養,農桑の勧課,所部の糺察,貢挙,孝義,田宅,良賤,訴訟,租調,倉廩,徭役,兵士,器仗,鼓吹,郵駅,伝馬,烽候,城牧,公私の馬牛,闌遺の雑物および寺,僧尼の名籍のことをつかさどり,とくに陸奥,出羽,越後等の国はそのほかに饗給,征討,斥候をつかさどり,壱岐,対馬,日向,薩摩,大隅等の国は鎮捍,防守および蕃客,帰化を惣知し,また三関国(伊勢,美濃,越前)は関剗および関契のことをつかさどることになっている。…

【太夫】より

…古浄瑠璃時代には伊勢島宮内,岡本文弥,道具屋吉左衛門,表具屋又四郎,虎屋永閑など太夫号を名乗らぬ例も少なくなかったが,しだいに一般化していった。もっとも,太夫のうちには加賀掾,筑後掾,越前少掾のように,受領(ずりよう)して掾(じよう)号を名乗る場合もあった。なお,ふつうは何某太夫(だゆう)と濁って発音するが,2音節にかぎり政太夫(まさたゆう)というふうに澄んでいう。…

※「掾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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