損ねる(読み)ソコネル

デジタル大辞泉 「損ねる」の意味・読み・例文・類語

そこ・ねる【損ねる】

[動ナ下一][文]そこ・ぬ[ナ下二]

㋐人の気持ちを傷つける。「機嫌を―・ねる」「感情を―・ねる」
㋑からだの調子を悪くする。「働きすぎて健康を―・ねる」

㋐物がこわれる。傷がつく。
「私の琵琶はちと―・ねて役に立ちませぬ」〈虎寛狂・伯養〉
㋑気持ちなどが、悪い状態になる。
「ちと機嫌が―・ねた」〈虎寛狂・子盗人
(動詞の連用形に付いて)
㋐…するのに失敗する。「買い―・ねる」
㋑…する機会を失う。「言い―・ねる」
[類語]損なう損ずる痛む壊す壊れる傷つく損傷する毀損きそんする汚損する損耗する磨損する腐る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「損ねる」の意味・読み・例文・類語

そこ・ねる【損】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ナ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]そこ・ぬ 〘 自動詞 ナ行下二段活用 〙
    1. ある物が、こわれる。傷つく。破れる。そこなわれる。
      1. [初出の実例]「ここに毅が所に位工卿とあり工は上の字がそこねたぞ」(出典:玉塵抄(1563)三)
      2. 「こけら(ぶき)の屋ねもそこねぬうちにさし枋(ぐれ)したり」(出典浮世草子世間胸算用(1692)三)
    2. ある状態が、悪くなる。悪化する。損じる。そこなう。
      1. [初出の実例]「のちに合戦のそこねてくづれてにぐるに江にとび入たぞ」(出典:玉塵抄(1563)九)
      2. 「余り声高にいふたに依て、機嫌がそこねた」(出典:虎寛本狂言・子盗人(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ナ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]そこ・ぬ 〘 他動詞 ナ行下二段活用 〙
    1. そこなう(損)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「高が三十枚か五十枚の事で人を損ねる事ぢゃと、如何にも見遁したが」(出典:歌舞伎・三千世界商往来(1772)三つ目)
    2. ( 「ぞこねる」とも ) =そこなう(損)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「質問の要領をはっきり捕へそこねて、更に赤くなって術ない身振りをした」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉前)

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