ギョーム・アモントン,シャルル=オーギュスタン・ド・クーロンらによって確立された摩擦力に関する近似的な経験法則。クーロンの法則,アモントンの法則,またはアモントン=クーロンの法則とも呼ばれる。摩擦係数は垂直抗力,見かけの接触面積,相対速度の大きさに無関係に一定の値をもつという法則と,静止摩擦係数は運動摩擦係数より大きいという法則から成り立つ。見かけの接触面積とは,たとえば箱の底が平面に接触する場合,箱の底面の面積をいう。しかし接触面には細かい凹凸があって一様に接触しているわけではないので,ほんとうにぴったり接触している部分の真の接触面積と区別している。摩擦の主因が凝着である場合には,接触面のやわらかいほうの材料の真の接触面積における剪断強さ s と硬さ(貫入強さ)p の比が摩擦係数 μに等しい(μ=s/p)として,摩擦の法則が理解できる。