放射性核種を含んだ無機化合物か、もしくは放射性核種が共有結合、キレートまたはその他の何らかの形で放射性核種と結合した化学物質(標識化合物)であり、それぞれの核種が放出する放射線を利用して病気の診断や治療に用いられる薬剤。具体的には放射性医薬品の製造及び取扱い規則に掲げられた放射性核種の化合物およびその製剤で、
(1)日本薬局方および放射性医薬品基準に収載されている品目
(2)診断または治療の目的で人体に適用するものであって、厚生労働大臣の製造もしくは輸入承認を受けた医薬品
である。放射性医薬品及び取扱い規則には次の67の放射性核種がしめされている。
3H, 11C, 14C, 13N, 15O, 18F, 22Na, 24Na, 32P, 35S, 42K, 43K, 45Ca, 47Ca, 51Cr, 52Mn, 52Fe, 55Fe, 59Fe, 57Co, 58Co, 60Co, 64Cu, 65Zn, 67Ga, 68Ga, 72Ga, 68Ge, 74As, 76As, 75Se, 82Br, 81mKr, 85Kr, 81Rb, 86Rb, 85Sr, 87mSr, 89Sr, 90Sr, 87Y, 90Y, 99Co, 99mTc, 111Ag, 111In, 113mIn, 113Sn, 132Te, 123I, 125I, 131I, 132I, 133Xe, 131Cs, 157Dy, 169Yb, 177Lu, 182Ta, 192Ir, 198Au, 199Au, 197Hg, 203Hg, 201Tl, 222Rn, 226Ra
第十五改正日本薬局方には10品目、放射性医薬品基準には33品目が収載されている。日本薬局方収載品目は次のとおりである。
クロム酸ナトリウム(51Cr)注射液、クエン酸ガリウム(67Ga)注射液、過テクネチウム酸ナトリウム(99mTc)注射液、塩化インジウム(111In)注射液、ヨウ化ナトリウム(123I)カプセル、ヨウ化ナトリウム(131I)液、ヨウ化ナトリウム(131I)カプセル、ヨウ化人血清アルブミン(131I)注射液、ヨウ化ヒプル酸ナトリウム(131I)注射液、塩化タリウム(201Tl)注射液
放射性医薬品の一般の医薬品と異なる点は、診断や治療の手段として放射線を利用するもので、用いられる物質量は極めて微量であり、取扱い上、放射能表示に検定日または検定日における放射能が記載されること、放射能標識、有効期間の表示が要求されていることなどである。
[幸保文治]
『日本薬局方解説書編集委員会編『第十五改正 日本薬局方解説書』(2006・広川書店)』
… 核医学の分野における治療には,甲状腺の機能亢進症や,癌に対するものなどがあり,通常,RIを体内に投与して治療がなされる。 これら核医学の分野において用いられるRIは,とくに〈放射性医薬品〉として一般のRIと区別されており,次のような特徴を有する。(1)放射性核種であり通常,γ線放出核種が多い,(2)放射能の減衰という性質のため,有効期限がある,(3)一般に薬理作用をもたない,(4)臓器等の診断に用いる場合は対象臓器に集積される臓器親和性を有する,(5)トレーサーとしての性質を有する,(6)被曝線量が少ない,(7)適当な比放射能を有する,(8)放射線障害防止上,購入,使用,貯蔵,廃棄等の厳重な記録および管理がなされる,ことなどである。…
※「放射性医薬品」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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