故事成語を知る辞典 の解説
故事成語の世界の動物たち
■馬がよく出て来るというのは、乗りものや輸送手段として、とても重宝されたからでしょう。同様に、労働力として非常に重要視された牛も、故事成語の世界には、よく出てきます。
■いくつか例を挙げると、「牛耳を執る」「火牛の計」「呉牛月に喘ぐ」など。「風馬牛」のように、馬と牛が共演している故事成語もあります。
■それに対して、人間にとって最も身近な動物、犬にまつわる故事成語は、それほど多くはありません。「犬馬の労」「喪家の狗」「羊頭を懸けて狗肉を売る」などが、その例。ペットとしては犬と人気を二分する猫に至っては、中国由来の故事成語としては、「窮鼠猫を嚙む」で嚙まれ役として出て来るくらい。もっとも、目をヨーロッパに向けると、「猫の首に鈴を付ける」や「火中の栗を拾う」といった、猫が登場する故事成語があります。
■どうやら、故事成語の世界では、人間と親しい動物よりは、人間とは異なるパワーを持つ動物の方が、人気があるようです。その代表格は、虎が出て来る故事成語。「虎の威を借る狐」「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「苛政は虎よりも猛し」など、恐ろしいほどの力を感じさせるものばかり。数としては馬ほど多くはありませんが、数以上のインパクトがあります。
■力強い動物として、虎と並び称されるのが、竜。この想像上の動物にまつわる故事成語は意外と少ないのですが、「逆鱗に触れる」「登竜門」のように、現在でもよく使われるものが目立ちます。
■ちなみに、ライオンは中国には生息していないため、仏教由来の「獅子吼」や「獅子身中の虫」に出て来る程度です。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報