デジタル大辞泉
「苛政は虎よりも猛し」の意味・読み・例文・類語
苛政は虎よりも猛し
《「礼記」檀弓下から》苛政の人民への害は、虎の害よりはなはだしい。
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精選版 日本国語大辞典
「苛政は虎よりも猛し」の意味・読み・例文・類語
かせい【苛政】 は 虎(とら)よりも猛(たけ・はげ)し
- ( 「礼記‐檀弓下」に「孔子過二泰山側一。有下婦人哭二於墓一者上而哀。〈略〉曰、然。昔者吾舅死二於虎一、吾夫又死焉。今吾子又死焉。夫子曰、何為不レ去也。曰、無二苛政一。夫子曰、小子識レ之。苛政猛二於虎一也」とあるのによる ) 悪政が人民に与える害は、虎の害よりもはなはだしい。〔文明本節用集(室町中)〕
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苛政は虎よりも猛し
苛酷な政治が人びとに与える害は、虎の害よりもひどい、ということ。悪政を戒めることば。
[使用例] かの不慈悲にして残忍なる官吏は鉄鞭を揮い、これを苛責し、これを強迫し、なんの容赦かこれあらん。なんの会釈かこれあらん。いわゆる苛政虎よりも猛しとは実にこの時代のありさまならん[徳富蘇峰*将来之日本|1886]
[使用例] 漢土には、苛政虎よりも猛しと云う諺があるそうだ[正宗白鳥*人間嫌い|1949]
[由来] 「[礼記]―檀弓・下」に出てくる、孔子の名言。あるとき、孔子が泰山(山東省内にある山)の麓を通りかかると、ある女性がお墓の前で泣いているのに出会いました。その泣き声に耳を傾けていた孔子は、弟子に「その泣き方からすると、何度も不幸に遭われたようですね」と尋ねさせました。すると、「以前、夫の父が虎に襲われて亡くなり、夫も同じ理由で亡くなりました。そして今、我が子も虎に襲われて死んだのです」との答え。「ならば、どうして引っ越さないのですか」と重ねて尋ねると、その女性は、「ここの政治は苛酷ではないからです」と答えました。そこで孔子は、弟子たちに向かって、「小子、之を識せ。苛政は虎よりも猛し(諸君、覚えておきたまえ、苛酷な政治は虎よりも恐ろしいのだ)」と述べたということです。
[解説] ❶父と子、孫の三代にわたって虎に殺されるという悲劇が、読者の胸を強く打つエピソード。悪政とは、それよりもさらにひどい害を人々に与えるものなのだ、という孔子のことばは、まさに名言といえましょう。❷本来は、政治家に対する戒めのことばですが、広く、人の上に立つ場合の心得として使うことができます。
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苛政は虎よりも猛し
悪政が人民に与える害は、虎の害よりもはなはだしい。
[使用例] 漢土には、苛政虎よりも猛しという諺があるそうだ[正宗白鳥*人間嫌ひ|1949]
[解説] 孔子が泰山のかたわらを過ぎたとき、婦人が墓で泣いていた。聞くと、家族が三人も虎に殺されたという。それでもこの地を去らないのは、政治がよいからだといったという話(「礼記―檀弓下」)によることば。
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