教師の倫理綱領
きょうしのりんりこうりょう
一般的には、教員がその職務を遂行していく基本的姿勢や方針を宣言したものをいい、通常「教師の倫理綱領」といえば、日本教職員組合が1952年(昭和27)6月第9回大会(新潟)で決定した10項目からなる倫理綱領を意味する。同綱領では、日本の社会の課題にこたえて青少年とともに生き、教育の機会均等に尽力し、平和を守り、科学的真理にたって行動する教師(1~4項)、教育の自由を守り、正しい政治を求め、社会の頽廃(たいはい)に抗し、新しい文化を創る教師(5~7項)、労働者としての教師(8項)、生活権を守り、団結する教師(9~10項)であるべきことが宣言されている。
[若井彌一]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
教師の倫理綱領
きょうしのりんりこうりょう
日本教職員組合 (日教組) が教師の基本的性格と行動の基準として定めたもの。 1951年に草案を作成し,52年に正式に決定。前文と次の 10項目から成る本文で構成されている。 (1) 教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる。 (2) 教師は教育の機会均等のためにたたかう。 (3) 教師は平和を守る。 (4) 教師は科学的真理に立って行動する。 (5) 教師は教育の自由の侵害を許さない。 (6) 教師は正しい政治を求める。 (7) 教師は親たちとともに社会の頽廃とたたかい,新しい文化をつくる。 (8) 教師は労働者である。 (9) 教師は生活権を守る。 (10) 教師は団結する。
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世界大百科事典(旧版)内の教師の倫理綱領の言及
【教師】より
… 51年の講和条約締結前後から教育政策が転換し,教育基本法体制の空洞化といわれ,それは教員政策にもあらわれた。そのとき日教組は平和と民主主義の教育を守ることの重要性を確認し,52年の大会で〈教師の倫理綱領〉を決定した。それは〈教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる〉に始まる10項目であり,平和の擁護,教育の機会均等の実現,科学的真理に立っての行動,教育の自由の保障などをかかげている。…
【日教組】より
…そして,朝鮮戦争下,〈教え子を再び戦場に送るな〉のスローガンをかかげ(1951),サンフランシスコ講和条約が締結される時点で平和四原則を支持し,同時に自主的・民主的教育研究活動を学校や地域,県,全国の各レベルで組織し(1951以降。[教研集会]),さらに青少年の教育に組織的に責任を負う専門職の団体として〈教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる〉に始まる10項目からなる〈教師の倫理綱領〉を決定し(1952。〈[教師]〉の項目参照),以後相次ぐ政府の〈反動文教政策〉と対決することになる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」