改訂新版 世界大百科事典 「敵味方識別装置」の意味・わかりやすい解説
敵味方識別装置 (てきみかたしきべつそうち)
identification friend or foe
IFFと略す。地上部隊や艦船などから航空機や艦船などに対し捜索用レーダーと連動した符号電波を使って質問・応答を行い,その応答信号の有無および内容から敵味方を識別する無線装置で,2次レーダーの一種。この装置の原形は第2次大戦中の1940年ころイギリスで開発され実戦に使われた。現在,日本をはじめ西側諸国で使用している方式は,50年ころから秘匿性の向上と味方航空機や艦船などに対する個別の選択識別性を向上するためSIF(selective identification feature)機能を付加したもので,SIF装置と呼ばれることもある。装置の構成は地上(または艦船)の質問機(インタロゲーター)と航空機(または艦船)に搭載した応答機(トランスポンダー)からなり,その目的には敵味方識別のほかに,味方機中の特定機の識別,要撃または交通管制の可能範囲の延伸と容易化,緊急事態の表示などがある。なお,民間でも交通管制に同種の装置が使用されている。
執筆者:虎田 俊人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報