文書提出命令(読み)ぶんしょていしゅつめいれい

改訂新版 世界大百科事典 「文書提出命令」の意味・わかりやすい解説

文書提出命令 (ぶんしょていしゅつめいれい)

民事訴訟において,文書証拠として利用しようとする当事者(挙証者)がその文書を所持していず,相手方または第三者が所持している場合に,挙証者の申立てにより,裁判所が文書の所持者に対しその提出を命ずる決定。この決定が発せられるのは,相手方当事者が当該訴訟で引用した文書をみずから所持するとき,挙証者がその引渡しまたは閲覧を求めることができるとき,挙証者の利益のために作成されまたは挙証者と所持者との間の法律関係について作成された文書であるときであるが(民事訴訟法312条),1970年ごろからこれらを拡張解釈して広く発令を認めようとする傾向が著しくなっている。なお商人が当事者であるときは裁判所は商業帳簿の提出を命ずることができる(商法35条)。相手方たる当事者がこの命令に従わないと挙証者の文書に関する主張真実と認められ(民事訴訟法316,317条),第三者が従わないと過料の制裁を受けることがある(318条)。
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百科事典マイペディア 「文書提出命令」の意味・わかりやすい解説

文書提出命令【ぶんしょていしゅつめいれい】

民事訴訟の証拠収集手続において,証拠の所持者に対してその提出を命ずる裁判所の命令。1996年制定の新民事訴訟法によって,従来その範囲について争いのあった文書提出義務の明文的な拡大を含む整備がなされた(同法219条以下)。公務員の職務上の秘密に関する文書については,情報公開法(1999年成立)によって原則として公開することとなった。
→関連項目審尋

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