一定範囲の文書と電磁的記録とを毀棄対象とする罪の総称。1987年の刑法改正法により電磁的記録(刑法7条の2)も客体に含められた。公務所の用に供する文書および電磁的記録,すなわち,名義人等を問わず,公務所で使用中または使用目的で保管中の文書・電磁的記録を毀棄する罪(公用文書等毀棄罪,刑は3ヵ月以上7年以下の懲役,258条)と,権利・義務に関する他人の文書および電磁的記録,すなわち,権利・義務の存否,変動等を証明する他人所有の文書(有価証券を含む)・電磁的記録を毀棄する罪(私用文書等毀棄罪,5年以下の懲役,259条。親告罪,264条)から成る。公務員が職務上作成中の文書も,文書の意味・内容を備えれば,公用文書とされる。差押え・物権・貸借の対象である自己所有の文書等は,私用文書等毀棄罪の客体となる(262条)。毀棄とは,破棄・隠匿・抹消等,効用を害する行為すべてを指す。郵便法等に特則がある。
執筆者:伊東 研祐
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