新生児感染症(読み)しんせいじかんせんしょう(英語表記)infectious disease of the newborn

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

新生児感染症
しんせいじかんせんしょう
infectious disease of the newborn

新生児は免疫学的に母体からの免疫グロブリンG(IgG)は十分にあるが、免疫グロブリンM(IgM)や免疫グロブリンA(IgA)は胎盤を通過しないのでほとんどなく、また細胞性免疫も未熟であり、成人の免疫不全症候群とほぼ同一の状態とみなされる。それゆえ新生児は感染に侵されやすくかつ重篤となりやすい。感染経路としては、(1)母体から胎盤を通じての垂直感染(トキソプラズマ、梅毒および風疹(ふうしん)などのウイルス)、(2)出生時の経産道感染(ヘルペスウイルス、B群溶連菌など)、(3)出生後の病院内水平感染(ブドウ球菌など)がある。また、破水(卵膜が破れ羊水が子宮外へ出る状態)がおこると母体外陰部の細菌が子宮内の羊水腔(くう)に上昇し、羊水感染症をおこして児へ感染する。
 新生児感染症は成人の感染症のように発熱などの明らかな症状が出にくいのが特徴で、なんとなく元気がない、哺乳(ほにゅう)力が低下した、などの漠然とした所見が重要となる。また、検査上でも白血球増加などの感染症特有の生体反応も認められないことが多い。とくに敗血症、髄膜炎がもっとも重要であるが、大腸菌およびB群溶連菌が新生児敗血症の3分の2を占め、敗血症の4分の1は髄膜炎を合併する。早期発見および適切な抗生物質による早期治療が大切であるが、髄膜炎を合併した場合は神経学的後遺症のリスクが高まる。[仁志田博司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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