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垂直感染 すいちょくかんせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

垂直感染
すいちょくかんせん

病原体が母親から子供へと感染 (母子感染) すること。それ以外の人から人,あるいは動物から人への感染を水平感染という。垂直感染には胎盤を通じて胎児に感染するサイトメガロウイルス,産道で感染するB型肝炎ウイルス,母乳を介して感染する成人T細胞白血病ウイルスがある。エイズウイルス (HIV) の垂直感染率は約 30%で,胎盤,産道,母乳すべての経路での感染がある。病原体の広がりを防ぐには,垂直,水平の両方からの感染を抑えることが必要となる。

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大辞林 第三版の解説

すいちょくかんせん【垂直感染】

胎児期あるいは周産期における、母から子への感染。風疹ふうしん・梅毒・ヘルペス・ B 型肝炎・エイズなどがある。母子感染。 → 水平感染

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

垂直感染
すいちょくかんせん
vertical transmission

胎児期または周産期におこる母から子への感染を総称する。感染経路としては経卵感染、経胎盤感染、産道感染、母乳感染があるが、ヒトの場合はおもに産道感染で、経卵感染の例はまだ知られていない。
 産道感染は、分娩(ぶんべん)時に新生児が産道で細菌やウイルスに接触感染するもので、細菌では淋(りん)病に罹患(りかん)している産婦から出産時に感染する新生児の淋菌性結膜炎が古くから知られており、ウイルスでは次の三つが知られている。
(1)単純ヘルペスウイルスは、妊産婦がこのウイルスによる性器ヘルペスに罹患している場合に垂直感染する。
(2)サイトメガロウイルスは、潜伏感染している女性が妊娠した場合、子宮頸管(けいかん)分泌物中に排泄(はいせつ)されるようになり、垂直感染する。これに感染した新生児や乳児は無症状であるが、潜伏感染してそのままウイルスを保持し、女児の場合は成熟して妊娠すると、また母から子への垂直感染を繰り返す。
(3)B型肝炎(HB)ウイルスは、これに感染した母体血を浴びることにより新生児の粘膜や皮膚の損傷部位から非経口的に感染し、HBウイルスのキャリアになる。そしてキャリア女性が妊娠すると、また垂直感染がおこる。
 経胎盤感染は子宮内感染ともよばれ、母体内の梅毒トレポネーマが胎盤を通して胎児に感染し先天梅毒児が生まれることがよく知られているが、ウイルスでは風疹(ふうしん)ウイルスやサイトメガロウイルスが代表的である。いずれも妊婦がたまたま流行中のウイルスに水平感染したことによりおこるもので、産道感染の単純ヘルペスウイルスの場合と同様に偶発的な1回限りの垂直感染である。[柳下徳雄]

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