家庭医学館 「新生児結膜炎」の解説
しんせいじけつまくえん【新生児結膜炎 Neonatal Conjunctivitis】
赤ちゃんが生まれてくるときに、お母さんの腟(ちつ)や外陰部にいる細菌やウイルスに感染しておこる結膜の炎症で、垂直感染の1つです。
生まれたばかりの赤ちゃんは全身の抵抗力だけでなく、目の抵抗力も弱いことが関係しています。
[原因]
一般細菌、淋菌(りんきん)、クラミジアなどが原因で、以前は淋菌によるものが多かったのですが、最近はクラミジアによるものが増加し、全体の約3分の1を占めるとされています。
[症状]
淋菌性結膜炎(りんきんせいけつまくえん)は膿漏眼(のうろうがん)と呼ばれ、生後1~3日に発症し、まぶた(眼瞼(がんけん))の腫(は)れと結膜の充血、多量のめやに(眼脂(がんし))を特徴とします。また角膜(かくまく)に潰瘍(かいよう)をつくり、視力障害の原因となることもあります。この病気は、お母さんに淋病がある場合に発症するものですが、出生時に抗生物質の点眼を行なうようになって以来、ほとんどみかけることはなくなりました。
クラミジアも性感染症の一種ですが、自覚症状に乏しいことがあり、知らないうちに保菌者となっていることがあります。この場合は、新生児に、めやにや偽膜(ぎまく)(炎症によって生じる、目の表面に形成された膜のようなもの)をつくる結膜炎(「結膜炎とは」の偽膜性結膜炎)を生じます。上咽頭(じょういんとう)感染や肺炎を合併することもあり、全身症状にも気をつける必要があります。
[治療]
抗生物質の点眼薬や軟膏(なんこう)を用いて治療します。
一般細菌や淋菌が原因であるものには抗生物質が効きやすいのですが、クラミジアの場合には、通常の抗生物質は効果が少ないことが多く、テトラサイクリン系の抗生物質を用いる必要があります。