新銀行東京(読み)しんぎんこうとうきょう

共同通信ニュース用語解説 「新銀行東京」の解説

新銀行東京

資金繰りに悩む中小企業支援のため、石原慎太郎いしはら・しんたろう元知事が旗振り役となり、2005年4月1日に開業した。財務諸表から機械的に貸し出しの可否を判断する「スコアリングモデル」を採用して融資を拡大したが、貸し倒れが相次ぎ経営が悪化。規模を縮小し、経費を抑えるなどして再建を目指したが、先行きが危ぶまれていた。15年3月期決算の純利益は15億円。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新銀行東京」の意味・わかりやすい解説

新銀行東京(株)
しんぎんこうとうきょう

東京都知事であった石原慎太郎(しんたろう)の発案でできた普通銀行貸し渋りに悩む中小企業の経営支援を目的に、東京都が出資して2005年(平成17)4月に開業した。2016年4月、東京都民銀行と八千代(やちよ)銀行の金融持株会社である東京TYフィナンシャルグループの傘下に入った。2018年5月、東京都民銀行とともに八千代銀行吸収合併され「株式会社きらぼし銀行」となり、新銀行東京の名称は消滅し、事実上、東京都は銀行経営から撤退する。

 石原再選を目ざした2003年の都知事選で設立公約し、2004年に都が買収したビー・エヌ・ピー・パリバ(BNPパリバ)信託銀行を母体に設立、翌2005年4月に営業を開始した。本店は東京都新宿区西新宿に所在。当初、出資するはずであった東日本旅客鉄道(JR東日本)など民間企業の多くが出資に応じなかったため、民間企業500億円、東京都500億円という官民折半出資構想は発足時から挫折(ざせつ)し、都が全体の9割弱(1000億円)を出資して発足した。しかし営業開始後には景気回復で中小企業は大手金融機関から容易に資金を調達できるようになり、中小企業向け融資環境が激変。財務基準を満たせば無担保・無保証で安易に融資する新銀行東京独自のスコアリングモデルが不正融資の温床となり、不良債権が膨らんだ。都は2008年の追加出資(400億円)と同時に、減資によって累積損失を解消し、店舗数の削減などで経営再建を目ざしたが、こうした姿勢は、都民の税金を損なうおそれがあるとの批判にさらされた。

 東京TYフィナンシャルグループ入りで、東京都の新銀行東京への出資額は東京TYフィナンシャルグループ株式(出資比率約3.9%)に形を変えた。したがって、今後、東京TYフィナンシャルグループの株価動向が、東京都の出資分を回収できるかどうかを左右することになる。

[矢野 武 2016年11月18日]

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知恵蔵 「新銀行東京」の解説

新銀行東京

株式会社新銀行東京は、東京都新宿区に本店を置く銀行。石原慎太郎が2期目の東京都知事選挙の公約にした「東京発金融改革」の目玉で、資金調達に悩む中小企業の救済を理念として2004年4月に設立された。
中小企業に対する無担保融資などを掲げ、金融機関の貸し渋りに苦しむ中小企業を支援するとして、東京都が1000億円を出資し開業したが、この際に当時売却を検討していたフランスの銀行の日本法人を都知事の即断のような形で買収したことや、全株式の8割以上を都が保有していることなどから「石原銀行」との異名をとる。設立の趣旨に基づき無担保・無保証の融資を売り物にしたが、審査の甘さや野放図な融資により膨大な不良債権を抱えることになり、08年3月期決算では累積赤字が1000億円を超えるまでになった。都議会では「私(石原)だったら、銀行をもっと大きくできた」との答弁がなされ、破綻(はたん)による大きな損失を避けるとして経営再建を進めることになった。そのため、08年4月には東京都が400億円の追加出資を行ったが、都民の反対も根強い。
その後、08年12月には融資詐欺事件の摘発やずさんな融資管理について金融庁から業務改善命令が出されるなど再建は隘路に立たされている。なお、09年3月の都議会では融資の焦げ付きによる損失を都が補助するなどの条例案と予算案が審議され、新銀行東京もこの取り扱いが可能であるため、乱脈融資へのさらなる追い貸しや新銀行への新たな税金投入の布石となるのではと危惧されている。

(金谷俊秀 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本の企業がわかる事典2014-2015 「新銀行東京」の解説

新銀行東京

正式社名「株式会社新銀行東京」。英文社名「ShinGinko Tokyo, Limited」。銀行業。平成16年(2004)設立。本店は東京都新宿区西新宿。東京都主導でBNBバリバ信託銀行を公有化して発足した銀行。中小企業向け融資に注力。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

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