族議員(読み)ゾクギイン

デジタル大辞泉 「族議員」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐ぎいん〔‐ギヰン〕【族議員】

ある特定政策部門に関心知識があり、政策の立案実施に強い影響力をもつ議員。また、その議員グループ。関係する省庁業界と結託して動くこともある。道路族建設族)、郵政族農林族国防族文教族など。

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精選版 日本国語大辞典 「族議員」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐ぎいん‥ギヰン【族議員】

  1. 〘 名詞 〙 特定の政策分野に強く、かつ、特定の業界の利益を代弁する議員。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「族議員」の意味・わかりやすい解説

族議員
ぞくぎいん

中央省庁の政策決定とこれに関係する業界の利益保護に強い影響力をもつ国会議員。1955年(昭和30)の保守合同で自由民主党結成後、1993年(平成5)8月に細川護熙(ほそかわもりひろ)8党会派連立政権が政権交代を実現するまで、国の政策立案は官僚自民党の共同作業の形で行われてきた。自民党の国会議員は党政調会の各部会に所属し、政務次官→政調部会長→国会の常任・特別委員長→閣僚と昇進しながら、特定分野の政策に精通。その過程で、議員は省庁の法案成立と業界の利益保護に協力し、一方で地元への利益誘導や政治資金を確保するというぐあいに、政界官界、業界の間で、いわゆる「鉄の三角形」ができあがるようになった。財政族、国防族、文教族、郵政族、外交族、社労族(厚生族、労働族)、建設族、商工族、運輸族、農林族、水産族など分野ごとに名前がつけられている。

 細川連立政権の発足に伴って国の政策決定への自民党の影響力が減り、族議員の力も急速に衰えた。しかし、その後1994年に村山富市(むらやまとみいち)政権が自民党、日本社会党、新党さきがけの連立で発足し、自民党が政権与党に復帰してからは、族議員が復活している。ただし、衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制が導入され、小選挙区では特定の業界だけに依存していては当選できないことから、幅広い業界の支持獲得を目ざす動きが出ており、族議員の体質が変化、弱体化した。

 族議員については、その専門的な知識、人脈でのプラス評価よりも、業界との癒着体質など、マイナス面のほうが目だった。2009年9月、本格的な政権交代で民主党政権が誕生したことにより、業界と政党の関係の再編成がどんな形で進むかで、族議員がふたたびクローズアップされることも考えられる。

[橋本五郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「族議員」の意味・わかりやすい解説

族議員
ぞくぎいん

特定の政策分野について,フォーマル,インフォーマルにかかわらず強力な影響力をもつ議員の俗称。日本の政策決定過程において,官僚や党幹部が根回しの対象とする議員であり,政府の閣僚,政党の政務調査会や国会の委員会の役職を経験し,政策決定に関与することを通じて形成される。一般には運輸族や建設族のように官庁を単位とする存在であるが,航空族や下水族のように細かい政策分野ごとにも存在する。自民党の場合,族議員はかつて各省の大臣在任中にその省内に影響力の網を張ることによって形成されたが,1970年代以降,組織の制度化に伴い部会などの役職経験を通じて形成されるようになった。野党のなかにもその出身や委員会経験などを通じて族議員が形成されている。

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