中央省庁の政策決定とこれに関係する業界の利益保護に強い影響力をもつ国会議員。1955年(昭和30)の保守合同で自由民主党結成後、1993年(平成5)8月に細川護熙(ほそかわもりひろ)8党会派連立政権が政権交代を実現するまで、国の政策立案は官僚と自民党の共同作業の形で行われてきた。自民党の国会議員は党政調会の各部会に所属し、政務次官→政調部会長→国会の常任・特別委員長→閣僚と昇進しながら、特定分野の政策に精通。その過程で、議員は省庁の法案成立と業界の利益保護に協力し、一方で地元への利益誘導や政治資金を確保するというぐあいに、政界、官界、業界の間で、いわゆる「鉄の三角形」ができあがるようになった。財政族、国防族、文教族、郵政族、外交族、社労族(厚生族、労働族)、建設族、商工族、運輸族、農林族、水産族など分野ごとに名前がつけられている。
細川連立政権の発足に伴って国の政策決定への自民党の影響力が減り、族議員の力も急速に衰えた。しかし、その後1994年に村山富市(むらやまとみいち)政権が自民党、日本社会党、新党さきがけの連立で発足し、自民党が政権与党に復帰してからは、族議員が復活している。ただし、衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制が導入され、小選挙区では特定の業界だけに依存していては当選できないことから、幅広い業界の支持獲得を目ざす動きが出ており、族議員の体質が変化、弱体化した。
族議員については、その専門的な知識、人脈でのプラス評価よりも、業界との癒着体質など、マイナス面のほうが目だった。2009年9月、本格的な政権交代で民主党政権が誕生したことにより、業界と政党の関係の再編成がどんな形で進むかで、族議員がふたたびクローズアップされることも考えられる。
[橋本五郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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